研究課題
申請者の最近の研究で、異なる金属インクを混合することによって、印刷によって合金層が形成できることが明らかになった。従来のプリンテッドエレクトロニクスでは、単一の金属の印刷を行い、得られる機能も導電性に限られていた。本研究では、多元素金属錯体を含むインクから合金を生成する「複雑系錯体化学」の学理を追求し、様々な機能を持つ合金を、プリンテッドエレクトロニクスによって形成する新しい手法の開発を目指している。最終的には、これまでにない軽量・フレキシブルな電子デバイスやセンサ・アクチュエータ素子、マイクロロボット等を、安く大量に製造する技術の確立を目指す。今期は、合金として用いる様々な種類の金属インクの合成を目的とした。銅、ニッケルをはじめとして、様々な金属を用いて錯体インクの合成を行った。それぞれのインクの最適な組成を検討し、熱分析等を用いることで、還元条件を明らかにした。各金属インクから形成した金属膜を分析し、酸化の程度を評価することによって、還元条件のさらなる検討を行った。さらに、以前より研究を進めている銅・ニッケル合金インクにおいては、さらなる組成の検討を行い、高い導電性と良好な大気安定性、基板への密着性、はんだ耐性を実現した。また、導電性微粒粉をインクに添加することによって、簡便に膜厚と導電性を向上させる新たなプロセスを開発した。今期に得られた銅・ニッケル合金インクに関する成果は、現在は論文を投稿中である。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画にない金属も含めて、これまでにない、様々な種類の金属インクの合成に成功した。さらに、インクを混合して合金を形成する条件に関しても、当初の予定を前倒しで検討を進めている。
今期に新たに合成に成功した金属インクを用いて、混合して合金化を行うことにより、現在のエレクトロニクスで重要である様々なデバイスを印刷・塗布プロセスによって形成する基盤技術を確立する。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 6件) 備考 (2件) 産業財産権 (2件) (うち外国 1件)
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