研究課題
令和5年度は、本研究の目的化合物であるトリオキソトリアンギュレン(TOT)中性ラジカルのヘリカル連結体の基本骨格となる二量体の設計・合成を行った。研究ターゲット1の「TOTのらせん状π共役連結体の合成」については、キラルな置換をもつフェニレン基で架橋したTOT二量体の中性ジラジカル種について、有機溶媒に対して可溶なものの合成に成功した。溶液中のESRスペクトルから電子スピン構造を明らかにするとともに、TOT骨格間の相互作用についても調べた。研究ターゲット2の「TOTとらせん状オリゴマーとの複合化」については、[5]ヘリセンおよび[6]ヘリセンを介して連結したTOT二量体の合成を行い、その電子スピン物性を調べた。
2: おおむね順調に進展している
TOTのヘリカル連結体の基本骨格である二量体について、光学活性体およびそのラセミ体の合成を達成し、キラル置換基をもつフェニレン架橋体ではTOT骨格間の電子的および磁気的相互作用を明らかにした。これらは研究目標であるTOTのヘリカル連結体の合成ならびにキラル光学・磁気物性を調べる上で重要な知見であり、物質合成については研究は順調に進展していると判断される。
研究ターゲット1、2の「TOTのらせん状π共役連結体の合成」および「TOTとらせん状オリゴマーとの複合化」について、有機溶媒に可溶なものの合成と基礎物性調査まで達成しており、キラル光学特性を調べる土台ができたと考えている。R6年度は、その光学活性体の合成とキラル光学特性の解明を行う予定である。また、単結晶X線構造解析を行い、キラリティーと複合化した磁気物性および電気伝導物性の発現の可能性について検討する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件)
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