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2023 年度 実績報告書

窒素-ハロゲン結合の制御活性化に基づく無触媒多才アミノ化法の開拓

研究課題

研究課題/領域番号 22H02078
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

南方 聖司  大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (90273599)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードアミノ化 / イオン反応
研究実績の概要

本研究では、これまで殆ど知られていない化学修飾によって窒素原子を活性化し、その制御を緻密に行うことで、イオン的およびラジカル的に化学反応をコントロールして多才なアミノ化反応を見出すことを目的としており、その化学修飾としては、窒素とハロゲンの結合を有し、そのハロゲンを活性化するためにさらに電子求引基を窒素原子に導入した反応剤を設計し、二電子および一電子反応に応用する。当該年度はイオン的なアミノ化の反応として、電子不足なアルケンのジアミノ化を開拓した。種々、検討した結果、ジブロモノシルアミドが触媒としてクロラミンNsを窒素源とすることで、クロトン酸エステルのα,β-ジアミノ化反応が進行することを見出した。しかし、触媒であるジブロモノシルアミドは、クロラミンNsに臭素を作用させることで合成できるが、臭素の毒性やジブロモノシルアミド自体の光安定性の悪さなどの問題があった。そこで、反応の系内でジブロモノシルアミドを発生させることを考えた。即ち、ジクロロノシルアミドに臭化物塩を作用させて、ハロゲン交換反応によって発生させるというものである。我々は、この試薬をノシルアミドに次亜塩素酸ナトリウム5水和物と酢酸を作用させることにより調製できることを見出した。ジクロロノシルアミドは安定であり、非常に取り扱いやすいことも判った。結局、2当量のクロラミンNs(ジアミノ化の窒素源)と触媒量のジクロロノシルアミドとNaBrを用いるもとによって、α,β-不飽和カルボニル化合物のアンチジアミノ化反応が進行することを発見した。この反応は、α,β-不飽和エステルのみならず、アミドやケトンにも適用でき、幅広い基質に対して有効であることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

一昨年度では、Boc基が置換したクロラミン塩を用いて、アルキルトシラートなどの求電子剤と反応させることによって、容易に第一級アミン等価体(Boc基が置換したアルキルアミン)を合成することができた。これは、来のアミノ化を凌駕できる方法論であり、今後の活用が期待できる。また、Boc基を外す前に、アルキル求電子剤と反応させることで、第二級アミンへと導け、多彩なアミン誘導体を極めた単純な方法で合成できる方法論を確立した。
昨年度に目標としていたα,β-不飽和カルボニル化合物のイオン的なジアミノ化反応は、十分達成することができた。幅広いα,β-不飽和カルボニル化合物に適用化で、また窒素上を自由自在に官能基化できる方法であることから、多種多様な非天然のアミノ酸の合成法を見出すことができた。

今後の研究の推進方策

今年度は、我々独自でその合成法を見出しているN,N-ジハロスルホンアミドを蚊通用するラジカル 反応を経由した、不活性なC(sp3)-H結合の官能化を伴う高難度な反応に挑戦する。予備的研究の中で、N,N-ジブロモノシルアミドは黄色固体であり、可視光下での保存が厳しく、特にN,N-ジブロモノシルアミドは相対的に可視光に対して不安定であるという、定性的な知見を得ている。この不安定要素を逆手にとって考えると、N,N-ジブロモノシルアミドは可視光によって窒素-臭素結合が均一に開裂できるのではないかという仮説を立てた。また、窒素原子に臭素原子2つとNs基が置換しており分子全体が非常に電子不足となっており、LUMOのエネルギーレベルが低下していると考えられ、強い酸化剤(一電子受容体)となるのではないかと考えた。このことから、さらに発想を膨らませると、N-Br結合のσ*は高いルイス酸性となり、ルイス塩基(LB)と電子ドナー・アクセプター錯体(EDA complex)を形成し、光あるいは熱エネルギーで一電子移動(SET)が生起し、アミジルラジカルが生成すると考案した。このことを活用し、ヘテロ原子のα位およびベンジル位のCsp3-Hのアミノ化およびCsp3-Hのダブルアミノ化などにチャレンジし、これまでに類を見ない反応の確率を目指す。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Amino‐λ3‐iodane‐Enabled Electrophilic Amination of Arylboronic Acid Derivatives2024

    • 著者名/発表者名
      Kiyokawa Kensuke、Kawanaka Kazuki、Minakata Satoshi
    • 雑誌名

      Angewandte Chemie International Edition

      巻: 63 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1002/anie.202319048

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Photoexcitation of (diarylmethylene)amino benziodoxolones for alkylamination of styrene derivatives with carboxylic acids2024

    • 著者名/発表者名
      Okumatsu Daichi、Kiyokawa Kensuke、Bao Nguyen Linh Tran、Abe Manabu、Minakata Satoshi
    • 雑誌名

      Chemical Science

      巻: 15 ページ: 1068~1076

    • DOI

      10.1039/d3sc06090j

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] アミド誘導体のαおよびβ位C(sp3)-Hハロアミド化2024

    • 著者名/発表者名
      内藤智由希, 南方聖司
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] N-ハロスルホンアミド類を活用するπ共役分子の立体選択的ジアミノ化2024

    • 著者名/発表者名
      中嶋 遼, 南方聖司
    • 学会等名
      日本化学会第104春季年会
  • [学会発表] N-ハロスルホンアミドによるα,β-不飽和カルボニル化合物の立体特異的ジアミノ化2023

    • 著者名/発表者名
      杉山孟, 南方聖司
    • 学会等名
      第123回有機合成シンポジウム
  • [学会発表] sp2およびsp3炭素のビシナル位官能基化2023

    • 著者名/発表者名
      南方聖司
    • 学会等名
      お茶の水女子大学セミナー
    • 招待講演
  • [学会発表] N-ハロスルホンアミド類を活用するπ共役分子の立体選択的ジアミノ化2023

    • 著者名/発表者名
      中嶋 遼, 南方聖司
    • 学会等名
      第13回CSJ化学フェスタ 2023
  • [学会発表] ヨウ素-ヘテロ原子結合を鍵とする有機合成手法の開発2023

    • 著者名/発表者名
      南方聖司
    • 学会等名
      第26回ヨウ素学会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] N,N-ジアルキルカルバマートのαおよびβ位C(sp3)-Hアミドブロモ化2023

    • 著者名/発表者名
      糸井康平, 南方聖司
    • 学会等名
      第43回有機合成若手セミナー
  • [学会発表] N-ハロスルホンアミドによるα,β-不飽和カルボニル化合物の立体特異的ジアミノ化2023

    • 著者名/発表者名
      杉山孟, 南方聖司
    • 学会等名
      第43回有機合成若手セミナー
  • [学会発表] N,N-ジアルキルカルバマートのαおよびβ位C(sp3)-Hアミドブロモ化2023

    • 著者名/発表者名
      糸井康平, 南方聖司
    • 学会等名
      第12回JACl/GSCシンポジウム
  • [学会発表] N1ユニット活性種の創製に基づく含窒素分子合成2023

    • 著者名/発表者名
      南方聖司
    • 学会等名
      第82回パネル討論会:有機合成化学協会中国四国支部イベント
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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