研究課題/領域番号 |
22H02114
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
栗田 僚二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50415676)
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研究分担者 |
南木 創 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40793980)
西原 諒 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50846988)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 生物発光 / バイオ分析 |
研究実績の概要 |
本研究では、タンパク質の疎水性ポケット部で酸化触媒されて発光する天然に存在しないルシフェリンアナログ(人工ルシフェリンと呼称)を創成し、マイクロウエルアレイを用いたデジタルバイオ分析の検出試薬として用いることで、迅速・高感度な分析技術を提案することを目標としている。本年度は、これまでに拡充した人工ルシフェリンライブラリーを用いて、ウイルスタンパク質で発光する人工ルシフェリンのスクリーニングを行った。社会的ニーズの高いターゲットとして、パンデミックを引き起こしているSARS-CoV-2(通称、新型コロナウイルス)をモデルターゲットとして設定した。新型コロナウイルスは、エンベロープの外に向けてスパイクタンパク質を有しており、このスパイクタンパク質によって触媒され発光する人工ルシフェリンのスクリーニングを行ったところ、シュプリジナルシフェリン、および、その類縁体で発光することを見出した。Kcat, φFLを明らかにするととに、スパイクタンパクでの分子認識メカニズムの探索を行った。スパイクタンパクはS1、S2というドメインにわかれており、さらにRBDと呼ばれる部分も存在している。フルレングスタンパクと、S1,S2ドメイン単体での発光強度やミカエリス定数、代謝回転数を求めたところ、フルレングスではミカエリス定数が小さくなる、つまり、アフィニティが強くなり、さらに代謝回転数も大幅に増強していることがわかった。これらの結果は、ドメイン界面でシュプリジナルシフェリンが発光していることを示唆している。さらにドッキングシミュレーションの結果からもドメイン界面で発光していることを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ルシフェリンアナログの合成を多数行うとともに、新型コロナウイルスのスパイクタンパクによって発光するルシフェリンを見出すことに成功した。アメリカ化学会や所属研究所からプレスリリースするなど、注目度の高い研究成果を発信することが出来たため、上記評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
将来の診断・ヘルスケアへの展開を鑑み、デバイス化による迅速化と簡易計測化を行う予定である。
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