研究実績の概要 |
2年目の研究計画では、前年度で得た両親媒性ブロックポリマーが、リン脂質膜上に組み込まれ、ドメインを形成するか確認すると共に、そのドメインがイオンチャネル能を有するか評価を行うことを予定していた。ポリマーのリン脂質膜への組み込みおよびドメイン形成の確認は、前年度合成したポリマーとrhodamineで標識したポリマーを混合し、モデル生体膜のリポソームに組み込んだ後、共焦点顕微鏡観察を行った。その結果、リポソーム膜上にrhodamine由来の蛍光シグナルが観察できたことから、ポリマーがリポソームに組み込み可能であることが判明した。まだ、ポリマーは均一に分布せず、ポリマーリッチなドメインを形成していることも明らかになった。また、このドメインの詳細な構造を把握するために中性子散乱測定も実施した。次に、ドメインを形成したポリマーのイオンチャネル能の評価を行った。ポリマーを組み込んだリポソーム内にpHインジケーターであるヒドロキシピレントリスルホン酸を封入し、LiOH, NaOH, KOH, RbOHなどを添加し、イオン透過能の評価を行ったところ、すべてのイオンに対して透過することが判明した。特に、K+イオンの透過速度が、他のイオンに対して最も高いことを見出した。
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