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2022 年度 実績報告書

水性ミクロ相分離二相系高分子集積体の創成

研究課題

研究課題/領域番号 22H02147
配分区分補助金
研究機関大分大学

研究代表者

檜垣 勇次  大分大学, 理工学部, 准教授 (40619649)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード水溶性高分子 / ブロック共重合体 / ミクロ相分離 / 水
研究実績の概要

細胞内液滴が関与する生命現象・疾患の包括的理解を志向した研究の潮流から、水性環境における親水性高分子の相分離現象への関心が高まっている。本研究は、両親水性ブロック共重合体が形成するメゾスコピックな秩序構造の構造転移や崩壊、選択的分子分配の理解と普遍的発現機構の解明による、水性ミクロ相分離二相系分子システムの構築を目的としている。
水溶液中で特異的に相互作用して凝集する分子機構を備えた新規双性イオン型両親水性ブロック共重合体群を設計し、合成した。希薄水溶液で形成される粒子の流体力学的半径を動的光散乱(DLS)測定、濃厚水溶液で形成されるミクロ相分離構造を小角X線散乱(SAXS)測定で解析した。SAXS実験は九州シンクロトロン光研究センターのビームラインBL11を利用した。
異種双性イオン高分子で構成される両双性イオンブロック共重合体水溶液のミクロ相分離について、共重合対組成と濃度に対する相図を示した。構成分子鎖の重合度に大きく依存し、閾濃度で水の選択分配特性が変化する、両双性イオンブロック共重合体のユニークな相分離挙動を明らかにした。
繰り返し単位にカルボキシベタイン基を含むポリカルボキシベタインが、水、エタノールに対して可溶、水/エタノール混合溶液に対して不溶となる共貧溶媒効果を示すことを発見した。統計力学モデルに基づいてシミュレーションし、水、エタノールとの競争的水素結合と協同性水和に起因する共貧溶媒効果の双性イオン特異性を提案した。さらに、共貧溶媒効果によってミクロ相分離が誘起されるミクロ相分離二相系の構築に成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

双性イオン高分子を構成分子鎖に含む複数の両親水性ブロック共重合体の合成に成功し、分子鎖と溶媒、溶質との相互作用に応じて形成されるミクロ相分離構造の実態を解明しつつある。当初計画していた両双性イオンブロック共重合体の相分離挙動については、研究成果を論文として公開した。当初計画では想定してしていなかった共貧溶媒効果によって誘導されるミクロ相分離構造を研究過程で偶然発見した。双性イオン高分子の共貧溶媒効果の研究に発展したため、当初の計画以上に進展したと判断した。

今後の研究の推進方策

ブロック共重合体の合成実験において、分子量計測を効率的に行うことで研究が推進される。初年度に導入した高速液体クロマトグラフィーシステムは複数装置の同時制御が可能であり、研究効率が格段に改善された。今年度は、実験データの解析を円滑に実施するため、計算処理能力の高いデータ解析用コンピュータと共用ソフトウェアを整備する。さらに、学生に論文執筆について指導することで、研究成果のアウトプットを促す。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] University of Glasgow(英国)

    • 国名
      英国
    • 外国機関名
      University of Glasgow
  • [雑誌論文] Cononsolvency of Poly(carboxybetaine methacrylate) in Water-Ethanol Mixed Solvents2023

    • 著者名/発表者名
      Yuji Higaki, Naoki Kuraoka, Takumi Masuda, Emi Hifumi
    • 雑誌名

      Polymer Journal

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41428-023-00780-x

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Phase Behavior of Double Zwitterionic Block Copolymers in Water: Morphology Transition through Concentration Dependent Selectivity of Water Partitioning2022

    • 著者名/発表者名
      Yuji Higaki, Masaya Takahashi, Takumi Masuda
    • 雑誌名

      Macromolecular Chemistry and Physics

      巻: 224 ページ: 2200416~2200416

    • DOI

      10.1002/macp.202200416

    • 査読あり
  • [学会発表] 両親水性ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)/ポリカルボキシベタインジブロック共重合体の水性環境における凝集特性2022

    • 著者名/発表者名
      檜垣勇次,舛田拓己,中村まい,倉岡直輝,高橋将也
    • 学会等名
      第71回 高分子学会年次大会
  • [学会発表] 両双性イオンブロック共重合体濃厚水溶液のミクロ相分離構造2022

    • 著者名/発表者名
      檜垣勇次,高橋将也,清水茜
    • 学会等名
      2022年 繊維学会年次大会
  • [学会発表] 両双性イオンブロック共重合体の水性ミクロ相分離構造2022

    • 著者名/発表者名
      檜垣勇次
    • 学会等名
      第3期物質・デバイス領域共同研究拠点キックオフシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 両親水性ブロック共重合体水溶液の相挙動2022

    • 著者名/発表者名
      檜垣勇次
    • 学会等名
      第37回 繊維学会西部支部講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] Mesoscale Ordered Lattice Structure of Double Biocompatible Block Copolymers2022

    • 著者名/発表者名
      Yuji Higaki
    • 学会等名
      第32回 日本MRS年次大会
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 檜垣研究室ウェブサイト

    • URL

      https://yuhigakki.wixsite.com/mysite

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公開日: 2023-12-25  

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