研究課題/領域番号 |
22H02155
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
関 朋宏 静岡大学, 理学部, 准教授 (50638187)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 相転移 / 発光 / クロミズム / 刺激応答性 |
研究実績の概要 |
本研究では、革新的で多様な刺激応答性を示す分子結晶群の開発に取り組む。特に、分子結晶の周期規則構造に基づくユニークな機能に着目した多彩な刺激応答性の発現を目指す。これまでの研究に置いて、ある金属錯体分子群が多くの特異な刺激応答性(発光性メカノクロミズムや光相転移、etc)を示すことが明らかとなっている。本研究では、金属イオンや配位子を様々に変え、さらなる未知の刺激応答性の開発を達成する。特に新規金属錯体では、これまでにない分子幾何構造に基づく新規結晶構造や、その相転移に基づく新機能の発現が期待できる。以上のような指針に基づき、新規かつ革新的な刺激応答性材料群を体系的に開発し、材料科学の発展に寄与する。 ピンセットなどを用いた機械的応力の印可に対して、破損することなく形状が変形する金錯体の結晶の開発に成功した。特徴として大規模な変形が挙げられ、変形距離、変形結晶ドメインの体積によって算出される変形率が300%を超えることが明らかになった。単結晶XRD測定より、変形に伴う分子配列変化、パッキング変化の様式に関しても知見を得ることができた。同様の応力変形を示すが変形率には劣る類縁体である金錯体と分子構造、結晶構造、結晶内の分子配向を比較した。結晶の光学特性との関連も調査した。 また、白金錯体、銅錯体、有機分子からなる結晶の新規開発を行い、特に白金錯体において、分子の合成法の確立や刺激応答性の誘起することに成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子結晶の材料の研究を行い、新奇の刺激応答性を開発すること目指している。得られた研究成果として、応力に対する大規模変形を達成できたことは重要な点であり、同様の報告は非常に少ない。たった一つの化合物のみからではなく、複数の分子結晶から大規模変形を誘起できたので、多様な比較をもとに知見を得ることができる点は大きな利点である。 また、金錯体以外の分子に関しても合成法の確立や刺激応答性の発現を確認できたので、今後の研究推進の高速化の準備が整ったといえる。
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今後の研究の推進方策 |
金錯体以外の分子からなる分子結晶材料を開発し、その刺激応答性を評価する。特に白金錯体において、システマティックに新規分子を合成し、結晶化後に、刺激応答性を評価する。具体的には、応力印可による光学特性の変化や形状変形・運動の有無の評価を行う。各種波長の光の照射や様々な極性の溶媒を暴露した際の応答についても評価する。
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