現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、無細胞発現系を用いて、細胞間ギャップジャンクションを形成する膜タンパク質であるコネキシン-43を搭載したウイルスレプリカを創製し、コネキシン発現ジャイアントリポソームやHepG2細胞へのギャップジャンクションを介した蛍光色素の輸送が可能であることを実証している(RSC Chemical Biology, 2022, 3, 231)。また、同様の手法で、ヘマグルチニン(HA)を搭載した「インフルエンザウイルスレプリカ」の創製に成功し、リガンドであるGM3含有脂質二分子膜への結合を確認している。このように、エンベロープ型人工ウイルスキャプシドに対して無細胞発現系を使用することにより、様々な機能性膜タンパク質を搭載したウイルスレプリカの創製が順調に進行している。その他にも、リボヌクレアーゼSを搭載した人工ウイルスキャプシドが細胞内RNAをある程度分解することで抗がん活性を示すこと(ChemBioChem, 2022, 23, e202200220)や、表面をBODIPY修飾した人工ウイルスキャプシドがπ-πスタッキングにより安定化すること(Chemistry Letters, 2022, 51, 1087) を見出し論文発表している。 ウィルスレプリカ作製においては、今後、エンベロープを効率的に付与する手法の確立も求められる。そのための新たな手法として、密度勾配溶液中に作製した脂質膜層に対してナノ微粒子を透過させることで脂質膜を被覆する脂質膜透過法(Small, 2023, 19, 2206153)や、ウィルスレプリカのエンベロープに対して、磁性ナノ粒子をハイブリッドし、磁気誘導能を付与することが可能となる新たな手法(Nanoscale Advances, 2022, 4, 1999-2010)を見出し、これらを論文発表している。
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