現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までにエンベロープ型人工ウイルスキャプシドに無細胞発現系を用いて対応するプラスミドDNAを発現することにより、膜タンパク質であるコネキシン、ヘマグルチニン(HA)、SARS-CoV2由来S-proteinを搭載した「膜タンパク質搭載ウイルスレプリカ」の創製に成功している。このうち、コネキシン搭載ウイルスレプリカについては、すでにRSC Chemical Biology, 2022, 3, 231にて論文発表している。HA搭載ウイルスレプリカは、抗HA抗体および金ナノ粒子修飾二次抗体の結合からHAの搭載が確認され、リガンドであるGM3含有脂質二分子膜への結合を水晶発振子マイクロバランス(QCM)により確認している。また、S-protein搭載したウイルスレプリカでは、TEM観察による突起状構造体の確認や、抗S-protein抗体および金ナノ粒子修飾二次抗体の結合のTEMによる確認、レセプターであるACE2への結合をフローサイトメトリーおよびQCMにより確認している(ACS Synthetic Biology, in revision)。その他にも、血液脳関門(BBB)シャトルペプチドや核移行シグナル(NLS)を提示したエンベロープ型人工ウイルスキャプシドの構築にも成功し、BBBモデル細胞を効果的に透過することや細胞核集積性を確認している。 エンベロープを効率的にレプリカに付与する手法として、密度勾配溶液中に作製した脂質膜層に対してナノ微粒子を透過させることで脂質膜を被覆できる実証している(Small, 2023, 19, 2206153)。今年度は、この系を拡張し、モデル膜のみならず天然の生体膜をナノ粒子に被覆する手法を開発した。さらに、生体膜についてプロテオームプロファイリングを行い、細胞の状態に応じて選択的に膜タンパク質が抽出されていることも見出している。
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