研究課題/領域番号 |
22H02213
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 公益財団法人サントリー生命科学財団 |
研究代表者 |
島本 啓子 公益財団法人サントリー生命科学財団, 生物有機科学研究所・構造生命科学研究部, 特任研究員 (70235638)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖脂質 / 生体膜 / 膜挿入 / 膜透過 |
研究実績の概要 |
MPIase は、大腸菌の内膜における膜タンパク質の統合に関与する糖脂質である。我々は、天然MPIaseの微量性と不均一性を克服するために、系統的なMPIaseのアナログ合成を進めてきた。これまでにドッキングシミュレーションや飽和移動差(STD)-NMR等から糖脂質MPIaseとタンパク質の相互作用点を予測している。これを実験的に証明し、より詳細にMPIaseに特徴的な官能基や糖鎖長の寄与を明らかにするために、特徴的な官能基を改変した3糖類縁体、および糖鎖伸長した6糖、9糖類縁体の化学合成を行った。3糖単位で糖鎖伸長する戦略を立案し、アクセプターにもドナーにも誘導可能な3糖ユニットを設計・合成した。新戦略により化学的に構築が難しいグルコサミンのα結合でユニット間を繋ぐことに成功し、9糖ピロリン脂質(mini-MPIase-9) や6糖モノリン脂質(mini-ECA-6)をはじめとする種々の類縁体の合成に成功した。これらの膜挿入試験の結果から、グルコサミン6位のAc基、マンノサミンのカルボキシ基、ピロリン酸の重要性が明らかになった。特に、6糖以上の糖鎖で膜シャペロンYidCとの協働作用が見られたことから、糖鎖部とYidCとが膜上で相互作用していることが示唆され、今後の機能化MPIaseとの相互作用解析の道筋をつけることができた。大腸菌のトランスロコン非依存型膜タンパク質膜挿入として、MPIaseが基質タンパク質を捕捉し、凝集を抑制しつつ立体配座を整えて膜挿入を行い、YidCへ引き渡す事で、自身の膜タンパク質膜挿入活性を再生するという機構を実証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドッキングシミュレーションや飽和移動差(STD)-NMR等から予測した糖脂質-基質タンパク質相互作用を、合成類縁体を用いて検証することができた。糖脂質側の各官能基の重要性や糖鎖長の影響を明らかにすることができ、それを論文化した。また、3糖ユニットを伸長する合成経路が確立できたことで、今後の機能化の道筋ができた。
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今後の研究の推進方策 |
糖脂質側の相互作用要因を明らかにすることができたので、今後はタンパク質側の多様性を検証する段階に入る。これまでは最も単純な系としてトランスロコン非依存的膜挿入を対象としてきたが、今後はMPIaseは分泌タンパク質の膜透過にも関わるので、多様な基質タンパク質との相互作用を調べると同時に、リボゾームやトランスロコン等のタンパク質合成装置・膜挿入装置の側と相互作用をする可能性にも注目する。
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