研究課題/領域番号 |
22H02217
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小松 徹 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40599172)
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研究分担者 |
水野 忠快 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (90736050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ケミカルバイオロジー / 創薬化学 |
研究実績の概要 |
本研究では,酵素の生きた機能である活性の評価を可能とする方法論「enzymomics(enzymeのomics)」について,その超高感度化,網羅化を達成する実験系を背景として,特にリキッドバイオプシー法を用いた血液中の酵素活性の異常の理解に基づく疾患の理解を実現する基盤技術構築を目指した研究を進めてきた. 本年度の研究において,高感度 enzymomics 計測の規格化に向けて,アッセイ系の統一とこのためのプローブ開発法の確立をおこなった. (1) 合成系の一般化,については,目標どおりに規格化されたアッセイ系の構築を進め,150 種類以上のプローブ開発を達成し,これらを用いた血液中の酵素活性計測を進めた.(2) 計測,データ解析の一般化,については,規格化された実験条件を用いて1日に 20 サンプル分のデータ計測を可能とする仕組みを構築し,これによって様々な生体サンプル中の酵素活性検出を実施し,膵臓癌早期および大腸癌患者の血液中に特有の酵素活性を複数見出すことができた(N. Nagano et al. Chem. Sci. 2023).更に,肝障害モデルにおいて,臓器のトランスクリプトームの異常と血液中の酵素活性の異常の関係性を明らかにする研究に着手し,いつくかの興味深い活性を見出している.これにより,臓器レベルの異常が血液中の酵素活性の異常にどのように波及するかの臓器-血液連環の理解に繋がる知見を蓄積していき,有用なバイオマーカーの発見による状態の記述のための有用なデータ基盤を与えることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1) 合成系の一般化 従来の蛍光プローブの有機合成は,一般的な有機合成によって進められ,各ステップの反応,精製の過程はそれぞれ研究者の試行錯誤によって進められ,1つのプローブの合成に月~年の日時を要することも珍しくない.これに対し,本研究では,規格化された条件で多様なプローブ合成を可能とするスキームの開発を進め,簡便な合成~精製操作によって蛍光プローブ合成を実施する仕組みを構築した.peptidase および glycosidase について規格化した条件の構築を達成し,血液中の様々な酵素活性検出に利用するプラットフォームを構築した.これについて特許出願をおこない(PCT/JP2022/023319,特願2022-079082),現在論文執筆準備中である. (2) 計測,データ解析の一般化 市販のマイクロデバイスと分注装置を用いて大量のデータを再現性よく計測する仕組みを構築した.規格化された実験条件を用いて1日に 20 サンプル分のデータ計測をおこなうことが可能であり,これによって得られる大量の計測データに対し,その特徴量を抽出して群間比較をおこなう解析プラットフォームの構築を併せて進めた.その初期の検討から新たに膵臓がん早期,大腸癌患者血漿中に特徴的な酵素活性の変化が起きていることを明らかにし,後者について論文発表をおこなった(N. Nagano et al. Chem. Sci. 2023).更に,肝障害モデルにおいて,臓器のトランスクリプトームの異常と血液中の酵素活性の異常の関係性を明らかにする研究に着手し,いつくかの興味深い活性を見出すことに成功しており,次年度以降,安定してデータの蓄積を進め,効率的に変化を見出すことが可能な基盤を確立した.
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今後の研究の推進方策 |
確立したプローブ合成法を用いたプローブ合成の拡張を進めると共に,確立した計測プラットフォームを用いたデータ計測を進めていく. 特に,臓器のトランスクリプトームの異常と血液中の酵素活性の異常の関係性を明らかにする研究を継続し,身体の状態変化を詳細に記述する血中バイオマーカーの発見と利用を可能とする基盤知見を蓄積していくことを目指す.
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