研究課題/領域番号 |
22H02265
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
岡本 章玄 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, グループリーダー (70710325)
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研究分担者 |
今村 岳 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (60715754)
Deng Xiao 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 研究員 (90903740)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微生物鉄腐食 / 細胞外電子移動 / 硫酸還元菌 / ベイズ最適化 |
研究実績の概要 |
硫酸還元菌は、鉄パイプライン等の嫌気環境で鉄腐食を引き起こし、甚大な経済損失と事故を引き起こしている。暗所や視認困難な場所で起き る嫌気バイオ腐食を防ぐためには現場の採水試料を用いた加速試験法の開発が鍵となる。本研究では、EEUに基づくバイオ鉄腐食の速度論的理 解・制御を通して、バイオ腐食細菌の加速試験開発へとつなげる。申請者らが独自に開発したハイスループット電気化学測定系にデータ駆動科学(ベイズ最適化)の手法を組み合わせることで、硫酸還元菌によ るEEUを大幅加速する電子ミディエーターの分子構造を網羅的に探索・特定する。さらに、EEUや腐食が加速される機構を解明、その普遍性を環境中細菌群集等を用いて検証、バイオ鉄腐食の制御を目指す。本年度は、30種類の電子ミディーター分子を使った測定を行い、各分子の分子構造と電流生成が紐づいたデータベースを構築した。高活性の分子を特定したことに加えて、分子指紋に従い、各物質の物性(酸化還元電位、官能基の種類と数、pKaなど)を用いて解析したところ、電流生成と膜透過性の間に強い相関が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高機能な分子の特定に加えて、分子指紋を活用した解析によって細菌からの電流生成を増大させるために必要な分子特性が複数明らかになった。これまでは各論的な研究が多かったため、小分子による電子移動機構に関しては、様々な仮説が提案されていたが、分子群を比較することで一般的な知見が得られたことは当初の予想を超えた成果である。
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今後の研究の推進方策 |
ベイズ最適化を適用することで、腐食速度を大幅に加速する小分子を購入可能な分子群から特定する。具体的には、先に作成したデータベースからモデルを構築することでEEU電流を増大する分子を予測、それを購入し、それらを用いた実験結果を含めて再度モデルを構築する。これを繰り返すことで予測精度を向上させ、EEU速度に影響を与える小分子を特定する。最も高い特性を示した分子に対して、鉄腐食速度を確認し、有意な加速が可能か検証する。
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