研究課題/領域番号 |
22H02268
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
榎本 賢 東北大学, 農学研究科, 教授 (90546342)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | バイオフィルム形成阻害 / 薬剤耐性真菌 / 新規治療薬 |
研究実績の概要 |
Turbinmicinはフロリダ産ホヤのマイクロバイオームに由来するMicromonospora属の細菌から単離・構造決定された化合物である。この天然物は浮遊増殖期の多剤耐性Candida aurisやAspergillus fumigatusに対して強い抗真菌活性を示すだけでなく,細胞外小胞の輸送を妨げることでバイオフィルム形成期におけるC. aurisのバイオフィルム形成を強力に阻害することが報告されている。本化合物を合成するための最大の課題は高度に酸化されたテトラヒドロキサントン骨格の構築と考えられる。申請者はこの部位の構築にあたり,AB環ユニットとDEF環ユニットをビニルキノンDiels-Alder (VQDA)反応で連結し,生じた中間体への水分子付加/芳香環化によりC環を構築する手法を計画している。 令和4年度は当初の計画に基づいて実際のAB環およびDEF環ユニットの合成を目指していたが,当初の計画の手法ではDEF環ユニットの構築が困難であったため,モデル化合物を利用してVQDA反応の条件検討を行う方針に変更した。令和5年度はDEF環ユニットモデル化合物を調製し,現在はピリドン部位をベンゼン環に置き換えたAB環ユニットモデル化合物の調製を行っている。また,新たなキサントン骨格の構築法として,カルボニル基の両オルト位に酸素官能基を有するベンゾフェノン誘導体が,酸素官能基を脱離基に変換する必要なく,弱塩基の処理により収率良く環化体を与えることを見出した。このような分子変換自体はキサントン骨格の構築法の一つとして知られてはいるものの,基質の調製や環化の収率が良好であったことから,今後は本法をturbinmicinの合成に適用していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和4年度(当初)はモデル化合物ではなく,AB環およびDEF環ユニットを実際に合成して鍵反応であるビニルキノンDiels-Alder (VQDA)反応の検討を実施する予定だったが,当初の計画通りにキサントン骨格を構築できず,DEF環ユニットそのものの合成に時間を要しそうだったことから,令和5年度はモデル基質を使用してVQDA反応の検討を行う方針に変更したため。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績の概要に記載したとおり,当初の計画とは別法でキサントン骨格を構築する方法を見出しているので,本手法を利用して実際のDEF環ユニットの調製を急ぐ。同時並行してモデル化合物を使用したビニルキノンDiels-Alder (VQDA)反応の検討を進める。
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