研究課題/領域番号 |
22H02272
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
轟 泰司 静岡大学, 農学部, 教授 (30324338)
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研究分担者 |
竹内 純 静岡大学, 農学部, 准教授 (00776320)
岡本 昌憲 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 准教授 (50455333)
大西 利幸 静岡大学, 農学部, 教授 (60542165)
山根 久代 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80335306)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | アブシシン酸 / 二次休眠 / 阻害剤 / 生合成 / 代謝 / 配糖化 |
研究実績の概要 |
種子の二次休眠に関わると考えられているアブシシン酸(ABA)の生合成・代謝に関わる酵素の特性と阻害剤創出研究を実施した。 1)キサントキシン酸化酵素ABA2の発現と基質構造要求性:シロイヌナズナABA2を大腸菌で発現し,キサントキシン(Xan)とその側鎖改変体,ならびに類似環構造をもつ内生化合物が基質になるかどうかを検証し,Xanの側鎖還元体XOLと酸化体XAのメチルエステル体MeXAがABA2の基質になることを初めて明らかにした。さらに,基質にならないと報告されていたXAもABA2の基質になること,また,ABAの内生代謝物であり,Xanに類似したヘキセノール環構造をもつ1',4'-trans-diol-ABAもABA2によってABAに変換されることを明らかにした。一方,同様の環構造をもつABA代謝物のジヒドロファゼイン酸は基質にはならずファゼイン酸には変換されなかった。逆反応(還元反応)は確認することができず,ABA2は酸化(脱水素)酵素としてのみ機能している可能性が強く示唆された。今後,現在創出を検討中のABA2阻害剤をツールとして活用し,種子の二次休眠に関わるABA2の役割とABA生合成経路の再検討を実施する。 2)ABA 8'-水酸化酵素CYP707Aの新規イソシアニド型阻害剤の創出:強いCYP707A阻害活性を示すが側鎖が異性化すると真逆の副作用を示す1E-ABNC(2E-ABAの側鎖カルボキシ基がイソシアニド基に置換)をリードとし,NC基の方向を完全に固定して異性化による副作用を除去した新規CYP707A阻害剤を創出した。今後,植調剤としての実用化を念頭においた活性調査を実施する。 3)ABA配糖化ならびに配糖体加水分解を阻害する化合物の創出:いずれも候補化合物を得ることができたので,今後,標的酵素の発現とアッセイ系を構築して,阻害機構を究明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022-2023年度は,ABAの生合成・代謝に関わる酵素すべての阻害剤を創出する計画であり,2022年度はABA2,CYP707A,配糖化と配糖体加水分解に関して,当初の計画以上の大きな進展があった。その一方で,9-cis-エポキシカロテノイドからXanを切り出すNCEDならびにアブシシンアルデヒドを酸化するAAO3に関して,前者は阻害剤候補の創出が未達であり,後者は阻害剤候補を見出したもののAAO3の異種発現に難航している状況である。いずれも2023年度中に達成すべく,引き続き検討を実施する。以上,期待以上に進展している部分とそうではない部分があるものの,全体としてはおおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでおおむね順調に進展しているため,引き続き当初計画に沿って研究を推進していく。
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