研究課題/領域番号 |
22H02273
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
村井 正俊 京都大学, 農学研究科, 准教授 (80543925)
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研究分担者 |
奥 公秀 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 准教授 (10511230)
青木 航 京都大学, 農学研究科, 助教 (10722184)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ユビキノン(コエンザイムQ) / ミトコンドリア / 光親和性標識 / 出芽酵母 |
研究実績の概要 |
“コエンザイム-Q”の名称で広く知られているユビキノン(UQ)は、ミトコンドリアにおける酸化的リン酸化(ATP生合成)に必須の脂溶性分子である。近年、UQはその生合成が完結するミトコンドリア内膜だけに留まるのではなく、細胞内の各所に輸送されてレドックスやエネルギー代謝の制御に関与することが示唆されている。しかし、UQの動態研究に威力を発揮する優れたプローブ分子が開発されていなかったことが一因となり、その全体像は明らかになっていない。本研究は、有機化学の視点から、UQの細胞内輸送に関与する一連のタンパク質を同定することで、UQの細胞内動態や多様な生理機能を理解する基盤の確立を目指すものである。
本研究の申請段階で、申請者は光反応性UQプローブ分子(pUQ5)を合成し、pUQ5が出芽酵母UQ欠損株(ΔCOQ2)の生育を効果的に相補することを見出していた。2022年度は、pUQ5で生育が相補されたΔCOQ2株に対して光親和性標識実験を行い、UQ取り込みに関与するタンパク質として、ミトコンドリア外膜のVDAC1および、内膜上の呼吸鎖複合体IVのサブユニットであるCOX3をを同定した。これら2つのタンパク質は外界に存在するUQが細胞質内に取り込まれ、ミトコンドリアに集積する過程で重要な役割を果たしている可能性が極めて高い。2023年度は、これら2つのタンパク質の生理的な意義について、生化学的あるいは遺伝学的なアプローチを通じて検証する予定である。上記の成果については、その方法論を含めて2023年度内に論文発表することを目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度は、ユビキノンプローブ(pUQ5)で生育が相補されたΔCOQ2株に対して光親和性標識実験を行い、UQ取り込みに関与するタンパク質として、ミトコンドリア外膜のVDAC1および、内膜上の呼吸鎖複合体IVのサブユニットであるCOX3をを同定することができた。こうした結果から、研究は概ね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上記で言及した2つのタンパク質以外の候補タンパク質についても、探索を続けたいと考えている。分担研究者と連携しつつ、プロテオーム解析や遺伝学的なアプローチを取り入れて、さらに研究を深化させたいと思う。
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