• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

トリプトファン類縁体による根寄生植物発芽制御メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 22H02276
配分区分補助金
研究機関明治大学

研究代表者

瀬戸 義哉  明治大学, 農学部, 専任准教授 (40620282)

研究分担者 米山 香織  埼玉大学, 研究機構, 准教授 (20769997)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード根寄生植物 / トリプトファン / オーキシン
研究実績の概要

ハマウツボ科のストライガに代表される根寄生植物は、アフリカを始めとする地域で作物生産に甚大な被害をもたらしている。根寄生植物の多くは、寄生する相手の根から分泌されるストリゴラクトン(SL)を高感度に感知して発芽するという独自の発芽システムを有している。本研究では、代表者が以前に見出した、アミノ酸の一種であるトリプトファン関連分子が根寄生植物の発芽を制御する、という現象について、その分子メカニズムの解明などを進めている。
研究開始当初、アセチル化されたトリプトファン(N-acetyl-tryptophan: NacTrp)が根寄生植物の発芽を誘導することを見出していたが、本実験結果については、良好な再現性を確認することが出来なくなっていた。昨年度は、この点について、改めて調査を行い、化学合成反応を行っている際の副産物が活性本体であることを示唆する結果を得た。現在、活性本体の特定に向けた研究を継続している。
また、トリプトファンから生合成される植物ホルモンの一種であるオーキシン類が根寄生植物発芽後の幼根伸長を阻害するという結果に基づき、種々のオーキシン関連分子について活性評価を行った。その結果、極性輸送阻害剤が根寄生植物の幼根の屈曲を押さえるという興味深い現象を見出した。また、5位に置換基を導入したIAAアナログ分子は、シロイヌナズナに対して主根の伸長阻害作用を示さない一方で、根寄生植物に対しては、IAAと同程度に幼根伸長を阻害することを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初発芽誘導活性分子として同定していたNacTrpについて、実際には合成時に得られる副産物が活性本体である可能性が示唆されている。このことから、当初の予定とは少し研究の方向性を変更することとなったが、真の活性本体を見出すことができれば、科学的にも非常に重要な知見となることが期待される。

今後の研究の推進方策

NacTrp合成時に得られる副産物に含まれる根寄生植物の発芽誘導活性分子の特定を目指す。活性分子が同定できた際には、本分子がストリゴラクトンの受容体に対して作用するのか否かを詳細に解析する。
オーキシン類による幼根伸長阻害活性については、現在までの成果を論文としてまとめて投稿中である。今後は、根寄生植物であるヤセウツボにおけるオーキシン関連タンパク質の機能解析等も進めることにより、根寄生植物に対して特異性の高い分子の探索にも取り組んでいく。また、これまで得られた化合物の中で、IAAの5位に置換基が導入されたアナログ分子は、高等植物に対する成長阻害活性が低い一方で、寄生植物に対する活性は良好であることから、本分子の作用についてより詳細な解析を実施する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] A divergent clade KAI2 protein in the root parasitic plant Orobanche minor is a highly sensitive strigolactone receptor and is involved in the perception of sesquiterpene lactones2023

    • 著者名/発表者名
      Takei S, Uchiyama Y, Burger M, Suzuki T, Okabe S, Chory J, Seto Y
    • 雑誌名

      Plant and cell Physiology

      巻: 64 ページ: 996-1007

    • DOI

      10.1093/pcp/pcad026.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] オーキシン関連分子が根寄生植物発芽後の幼根伸長に与える影響2023

    • 著者名/発表者名
      来馬 道生、 鈴木 泰輝、 都筑 惠、 西山 康太郎、 萩原 伸也、 瀬戸 義哉
    • 学会等名
      第58回植物化学調節学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi