研究課題/領域番号 |
22H02289
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
原田 直樹 大阪公立大学, 大学院農学研究科, 准教授 (00529141)
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研究分担者 |
後藤 剛 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10550311)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アンドロゲン受容体 / CREB / UCP1 / 熱産生 |
研究実績の概要 |
核内受容体とGタンパク質共役型受容体(GPCR)間でのシグナル伝達のクロストークについて明らかにすることを目的として、本研究では、ノルアドレナリンによる褐色脂肪組織での熱産生作用に対する核内受容体シグナリングの影響を検討している。 これまでの研究から、雄マウスでは去勢やアンドロゲン受容体(AR)KOによって体温(直腸温)が上昇することを認めていた。そこで、本研究では核内受容体ファミリーであるARを介した熱産生への影響を検討した。その結果、去勢マウスやARKOマウスでは、コントロールマウスよりもβ3アゴニストによる体温(直腸温)の上昇作用が強いことが判明した。つまり、ARシグナリングは、褐色脂肪組織においてβ3受容体シグナルを抑制して熱産生を抑制する作用をもつことを見出した。マウスの褐色脂肪組織を用いた検討から、β3受容体の活性化によるPKA/CREB/UCP1経路の活性化がARによって抑制されることが明らかになった。培養細胞を用いたルシフェラーゼレポーターアッセイによる検討より、CREBの活性化に対するARの作用は、ARの転写因子としての機能は関係しないことや核内ARが関与することを明らかにした。免疫沈降とmammalian two-hybrid法を用いた検討から、ARとCREBは複合体を形成することを明らかにした。雄は雌よりも体温が低いことが報告されているが、本研究結果から、褐色脂肪組織におけるARを介したアンドロゲンの熱産生抑制作用が体温の性差を形成する一因になることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス個体レベルで、褐色脂肪組織におけるアンドロゲンシグナリングによるPKA/CREB/UCP1経路の抑制作用を明らかにし、そのメカニズムとしてARとCREBの複合体形成を見出すことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
AR以外の核内受容体とCREBの関係性を明らかにするために、まずARとCREBの相互作用の詳細を明らかにする。
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