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2022 年度 実績報告書

化学感覚の老化による機能低下のメカニズム解明とその抑制法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 22H02292
配分区分補助金
研究機関京都女子大学

研究代表者

成川 真隆  京都女子大学, 家政学部, 准教授 (50432349)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード加齢 / 嗅覚 / アルツハイマー病 / マウス
研究実績の概要

本年度は特に嗅覚機能に着目した。アルツハイマー病患者において嗅覚感度が変化することが知られていることから、アルツハイマー病モデルマウスを用いて、アルツハイマー病における嗅覚障害とその要因について検討した。アルツハイマー病は加齢とともに発症割合が上昇することが知られる代表的な認知記憶障害である。アルツハイマー病モデルマウスとして、アミロイドβを内因的に過剰生産するアルツハイマー病のノックインマウスモデル(App KIマウス)を用いた。App KIマウスにおいて嗅覚行動の有意な変化が観察された。次いで、この要因を検討するために、嗅上皮における嗅覚関連遺伝子の発現を調査した。しかしながら、野生型マウスとApp KIマウスの嗅上皮の間で、嗅覚受容体やGタンパク質などの嗅覚関連遺伝子mRNAの発現レベルに有意差は認められなかった。一方で、App KIマウスでは嗅覚経路全体でアミロイドβの沈着が確認された。したがって、App KIマウスで認められた嗅覚行動の変化は嗅覚経路の障害によって引き起こされた可能性が考えられた。
また、加齢が嗅覚機能に与える影響を明らかにするために、若齢と高齢マウスを対象とし嗅覚行動の測定を開始した。高齢マウスで若齢マウスと比較し、好ましいにおい物質に対する行動が変化する可能性を見出している。一方で、この時嗅覚関連分子の発現に両群で差は認められなかった。ただし、観察個体数は十分ではないため、2023年度も引き続き検討を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1年目の計画に関しては上記研究実績の概要に記した通り、予定通り進行している。2年目についても順調に進むことが予想される。

今後の研究の推進方策

観察個体数を増やすために、今年度も引き続き嗅覚機能に着目した検討を進める。具体的には,嗜好性の匂い物質としてバニラ抽出物、忌避性の匂い物質として2-メチル酪酸を対象として、若齢と高齢マウス間で嗅覚感度の違いを行動アッセイで調査する。アッセイ終了後、嗅上皮を対象に、嗅覚受容体など嗅覚関連遺伝子の発現を測定し、加齢による嗅覚感度の変化に末梢の嗅覚関連遺伝子の発現量変化が関与するかどうかを検討する。
また、過去の検討で見出した老化依存的に存在量が変化する唾液タンパク質を対象として、これら分子が味応答を修飾するかどうかを味覚受容体発現細胞を用いて検討する。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 加齢による味覚の変化とその要因2023

    • 著者名/発表者名
      成川真隆、三坂巧
    • 雑誌名

      日本醸造協会誌

      巻: 118 ページ: 2~10

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Expression of Olfactory-Related Genes in the Olfactory Epithelium of an Alzheimer’s Disease Mouse Model2022

    • 著者名/発表者名
      Narukawa Masataka、Mori Yuko、Nishida Riko、Takahashi Suzuka、Saito Takashi、Saido Takaomi C.、Misaka Takumi
    • 雑誌名

      Journal of Alzheimer's Disease

      巻: 88 ページ: 29~35

    • DOI

      10.3233/JAD-220213

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Taste Characteristics of Various Amino Acid Derivatives2022

    • 著者名/発表者名
      TANASE Reiko、SENDA Rio、MATSUNAGA Yuna、NARUKAWA Masataka
    • 雑誌名

      Journal of Nutritional Science and Vitaminology

      巻: 68 ページ: 475~480

    • DOI

      10.3177/jnsv.68.475

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Identification of mouse bitter taste receptors that respond to resveratrol: a bitter-tasting polyphenolic compound2022

    • 著者名/発表者名
      Narukawa Masataka、Misaka Takumi
    • 雑誌名

      Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry

      巻: 86 ページ: 1431~1437

    • DOI

      10.1093/bbb/zbac127

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 塩味受容に関わるクロライドチャネルの同定2022

    • 著者名/発表者名
      成川真隆、笠原洋一、朝倉富子
    • 雑誌名

      化学と生物

      巻: 60 ページ: 314~316

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 塩味受容におけるクロライドチャネルの関与2022

    • 著者名/発表者名
      笠原洋一、成川真隆、朝倉富子
    • 雑誌名

      医学の歩み

      巻: 281 ページ: 1097~1098

  • [雑誌論文] 塩味受容に関わる新規クロライドチャネルTMC4の同定2022

    • 著者名/発表者名
      成川真隆、笠原洋一、朝倉富子
    • 雑誌名

      日本味と匂学会誌

      巻: 29 ページ: 91~97

    • 査読あり
  • [学会発表] レスベラトロールを受容する味覚受容体の同定2022

    • 著者名/発表者名
      成川真隆、三坂巧
    • 学会等名
      日本農芸化学会関西支部第520回講演会
  • [学会発表] 塩味受容に関与する新規分子TMC4の同定2022

    • 著者名/発表者名
      成川真隆、笠原洋一、石丸喜朗、三坂巧、阿部啓子、朝倉富子
    • 学会等名
      日本食品科学工学会第69回大会
  • [学会発表] 唾液腺の除去が味感受性に及ぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      松田莉奈、西田梨子、森優子、成川真隆
    • 学会等名
      第61回日本栄養食糧学会近畿支部大会
  • [学会発表] 加齢による味覚機能の変化2022

    • 著者名/発表者名
      成川真隆
    • 学会等名
      第19回高付加価値食品開発のためのフォーラム
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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