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2022 年度 実績報告書

重要遺伝資源タルホコムギにおける生殖関連遺伝子の同定とその育種利用

研究課題

研究課題/領域番号 22H02307
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

角井 宏行  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60783199)

研究分担者 松岡 由浩  神戸大学, 農学研究科, 教授 (80264688)
岡田 萌子  横浜市立大学, 木原生物学研究所, 特任助教 (20913289)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2027-03-31
キーワードタルホコムギ / 花粉 / 生殖 / 葯 / ゲノムワイド関連解析
研究実績の概要

植物の自殖化に伴って生じる自殖シンドロームや、他種の花粉の受精を拒絶する交雑親和性といった生殖関連形質は植物学的・農学的・進化学的いずれの視点からも興味深いが、それらを駆動した遺伝子の実体についてはほとんど明らかになっていない。特に世界三大穀物であるコムギで生殖形質を解析することは特に農学分野への貢献も期待できる。本研究では同一種内に自殖と他殖の形質を併せ持ち、種間交雑によってパンコムギを誕生させたタルホコムギを用いて、生殖形質を測定し、ゲノムワイド関連解析、遺伝子機能解析を行うことで生殖関連遺伝子の同定を試みる。初年度であるR4年度はタルホコムギのコアコレクション約200系統を神戸大学にて育成し、花粉関連形質を測定した。それぞれの系統から2穂を選び、1小花分の葯(3葯)を1.5mlチューブにサンプリングした。1系統あたり2小花分の葯をサンプリングした。この葯サンプルを京都大学育種学研究室に運搬し、カメラ付き実体顕微鏡によって葯の写真を取得した。この写真はのちに画像解析により葯長を計測した。続いて、葯をピンセットによって切断しtween-20溶液を加えて花粉液を作製した。この花粉液には細かいゴミおよび葯壁などの大きな細胞片が混在している。そこで目開き20μmおよび100μmのナイロンメッシュと0.5mlチューブを組み合わせて自作のカラムを作製し、余分な粒子を取り除いた。精製した花粉液をセルカウンター(CASY cell counter)にて花粉数および花粉サイズを計測した。その結果、花粉数は1小花あたり数百粒から7000粒と系統間で大きな差がみられ、同様に花粉サイズ、葯長においても系統間で多様性が見られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

タルホコムギの花粉関連形質の計測にはNBRP・コムギよりコアコレクションの種子の取り寄せを行い、適切な方法で維持・生育する必要があるが、研究者分担者である神戸大学の松岡由浩教授の研究室でこれらの集団を育成しており、これを使用することができた。また、花粉の計測には高精度の粒子計測器であるセルカウンターの使用が望ましいが、これは京都大学育種学研究室に新たに導入されたものを使用できた。2022年末に京都大学から東京大学への異動に伴い、研究環境や植物栽培環境が変化した。研究分担者や共同研究などの研究体制は変わることなく継続することができるため、新たな研究環境でより研究が進捗するように研究を行なっていく予定である。

今後の研究の推進方策

計測した花粉形質(花粉数・花粉サイズ・葯長)の系統について、それぞれ葉からDNAを抽出しており、GRAS-Di解析によるジェノタイプ情報の取得およびゲノムワイド関連解析を行う予定である。さらにそれぞれの形質間で相関があるかどうかも解析する。
野生コムギであるタルホコムギは自殖と他殖の性質を併せ持つが、栽培化が進んだ4倍体コムギおよび6倍体コムギと比較して他殖をより促進するシステムがある可能性がある。開花のタイミングや花粉の飛散などの状態を観察するためにタイムラプスカメラによる動画撮影を行う。
タルホコムギの栽培は基本的に年一度の周期で行われるが、解析や世代更新を迅速に行うために植物チャンバーを用いた室内栽培法を確立する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ライブイメージングで解明する コムギ配偶子致死遺伝子Gc2の作用機構2023

    • 著者名/発表者名
      角井宏行, 村田和樹, 内野智樹, 佐藤良勝, 水多陽子, 那須田周平
    • 学会等名
      日本育種学会第143回講演会
  • [学会発表] コムギ配偶子致死遺伝子Gcの機能解析2022

    • 著者名/発表者名
      角井宏行, 村田和樹, 佐藤良勝, 水多陽子, 那須田周平
    • 学会等名
      第17回ムギ類研究会

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公開日: 2023-12-25  

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