研究課題/領域番号 |
22H02324
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
近藤 始彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (00355538)
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研究分担者 |
中島 泰弘 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 高度分析研究センター, 上級研究員 (10354086)
杉浦 大輔 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (50713913)
増田 曜子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (80813237)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | イネ / 窒素固定 / エンドファイト / 炭水化物 / 品種 |
研究実績の概要 |
イネの体内特に茎部の炭素源を利用したエンドフィティック窒素固定システムのメカニズムの解明と固定能の向上のため、茎部の窒素固定に関与する代謝産物を解析した。ARA(アセチレン還元活性)が異なる3品種・系統について2段階の窒素レベルで水田で栽培し、茎部を採取した後メタボローム解析を行った。メタボローム解析から得られた代謝産物濃度とARAの関係から窒素固定に関与している代謝産物を推定した。その結果、スクロースなどの糖類がもっともARAと相関が高かった。さらにその影響を検証するために、新鮮茎部サンプルにこれらの基質の添加してARAの促進効果を調査した。その結果糖類によるARAの促進を観察した。またその際に発生するCO2やCH4とARAの間には必ずしも関係は見らなかった。このことは基質の分解に伴う窒素固定の炭素の利用効率は基質や環境、品種その他の要因で変動することが推察された。さらに窒素固定化性の高かったアフリカイネ(O.glaberrima)品種の遺伝要因を明らかにするためにアフリカイネ/アジアイネ(O.sativa)品種の2組の染色体断片置換系を圃場栽培し、ARAで評価した茎部窒素固定能力に関与するQTL領域の推定を行った。その結果複数の染色体領域に窒素固定能の向上関与するQTLが存在する可能性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで茎部窒素固定能と糖類濃度に関係のあることから、糖類による窒素固定の促進を推察してきた。今回はメタボローム解析による網羅的な代謝産物の解析から茎部窒素固定に関与する代謝産物の候補を明らかにすることができた。また活性が比較的高いアフリカイネを用いた遺伝解析によって遺伝要因を推定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
代謝産物との関係解析に加えてさらに茎部の微細部位別の窒素固定菌叢を解析するとともにその基質要求性を明らかにする。特に活性が高いと推定される不伸長茎部など茎基部のうち窒素固定の高い部位とその菌叢や基質要求性を詳細に調査することで茎部窒素固定の全体像を明らかにしようとする。 また根圏土壌における窒素固定についてもその促進要因を明らかにするために、酸化鉄などの影響を解析する。光合成窒素固定とヘテロトロフ窒素固定のそれぞれについて酸素の影響も含めて調査する。
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