研究課題/領域番号 |
22H02385
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 教授 (60237071)
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研究分担者 |
井手 淳一郎 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 准教授 (70606756)
小田 智基 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (70724855)
吉村 和久 九州大学, アイソトープ統合安全管理センター(伊都地区), 学術共同研究員 (80112291)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 河川水質 / モニタリング / シチズンサイエンス / リン酸 |
研究実績の概要 |
2022年6月1日から11月30日にかけて、アウトドア企業モンベルの協力を得て、モンベル会員を中心にシチズンサイエンスとして源流域河川水約1500点の採取を行った。採水地点は2003年に行われた約1300点の全国河川水質調査と同じ場所と含み、2022年現在の全国の河川水の現状を把握するとともに、20年間の河川水質の変化を追跡することも目的とした。 2023年度は22年度に収集された河川水サンプルについて、pH、電気伝導度、アルカリ度、主要カチオン(カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム)、主要アニオン(硫酸イオン、塩化物イオン)と主要な無機態窒素(アンモニウム、硝酸イオン)、リン酸、可溶性有機炭素、可溶性有機窒素について分析をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年には採取された水試料を、堀場アドバンスドテクノならびに堀場テクノサービスに協力していただき、リン酸イオンならびに主要陰イオン(塩化物イオン・硫酸イオン・硝酸イオン)と主要陽イオン(ナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオン・マグネシウムイオン・アンモニウムイオン)、アルカリ度の水質分析を行った。 これらの水質を、地理情報システムと機械学習を用いて解析した。今回2003年の調査より精度を上げて分析したリン酸イオン濃度は、全国的にやや低下する傾向がみられた。また、濃度を決定する要因として、付加体が挙げられ、リン酸濃度の決定には地質の影響が最も大きいことが示された。 河川の攪乱の指標となる硝酸態窒素濃度は、全国的には2003年の結果と大きな違いは見られなかった。地域的には、20年前とは違いのみられる場所もあった。すなわち関東では硝酸態窒素濃度はやや低下し、九州南部などではやや上昇する傾向がみられた。全国的また、関東や都市部では、2000年以降国内の窒素負荷量が減少していること、さらに2010年以降は大陸からもたらされる窒素も減少していることと整合していた。一方、九州南部での硝酸態窒素濃度の上昇傾向は、九州南部での農業活動、特に畜産との関係が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、主要陰イオンならびに陽イオンなどの水質成分との関係について、現在解析を進めて、わが国における河川水質の基礎的な決定要因を検討する。
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