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2023 年度 実績報告書

オスグマの行動を決めるもの-個体レベルの行動・生理研究-

研究課題

研究課題/領域番号 22H02389
配分区分補助金
研究機関東京農業大学

研究代表者

山崎 晃司  東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (40568424)

研究分担者 坪田 敏男  北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10207441)
小池 伸介  東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (40514865)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードツキノワグマ / 行動生態
研究実績の概要

これまでの研究で,ツキノワグマは秋期の飽食期に蓄えた体脂肪を,冬眠期間中のみならず,冬眠明け後の春から夏にかけても継続して利用することが明らかになってきた。春から夏は,高栄養で採食効率の良い食物の獲得が難しいことがその理由である。そのためクマは,動き回るとエネルギー収支がマイナスになってしまう夏期後半には,活動を停滞させる傾向を突き止めた。一方で,オスについては断片的な行動と生理に関するデータしか得られていないが,このような傾向が当てはまらない個体も多い。本研究では,オスの齢級に着目しながら,春から秋にかけての行動と生理に関する特徴を個体レベルで明らかにする。
研究対象地域は,奥多摩山地および足尾・日光山地の一帯のそれぞれ数100km2の範囲である。2023年度は,奥多摩山地でオス1頭,足尾・日光山地でオス4頭の計5頭にイリジウム通信型の軽量型GPS首輪あるいはビデカム付きGPS首輪(ドイツVectronic社)を装着した。首輪には3軸アクセラレータが内蔵されており,クマの行動区分をモデル解析により行える。2022年度捕獲個体の背部皮下に挿入した心拍・体温計(アイスランドStar-Oddi社)の再回収を試みたが成功には至っていない。
また,繁殖に関わるマーカーとして,糞中のテストステロン代謝物質の分析を,首輪装着個体の集中利用場所で可能な限り迅速に糞を採取して行った。さらに,同様に糞中のコルチゾルをマーカーとして用いてストレスと栄養状態の評価を行っている。個体の大きな移動前後の食性比較では,採集した糞を用い,内容物の量とその栄養学的評価を行う。並行して,日立市かみね動物園の飼育グマを用いた,性ホルモンの測定値評価を2023年度も実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

おおむね順調に進展している。しかし,当初の計画と異なり,本研究の対象であるオス,特に亜成獣の捕獲頭数が想定していた数に達していない。
また,捕獲個体の背部皮下に挿入した心拍・体温計の回収は現在までのところ成功していない。これは,挿入個体の再捕獲が1頭しかできなかったことによるが,その1頭の心拍・体温計も理由は不明ながら脱落しておりデータの回収に失敗した。

今後の研究の推進方策

当初の計画通りに進める予定である。2024年度では,心拍・体温計の回収に努めると共に,飼育個体を用いたテストステロンとコルチゾルの計測サンプル数を増やすための補完実験を行う予定である。また,これまでに得られたデータの分析と取りまとめを進め論文投稿を行う。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [国際共同研究] Norway Innland University(ノルウェー)

    • 国名
      ノルウェー
    • 外国機関名
      Norway Innland University
  • [雑誌論文] Demographic Parameters of Asian Black Bears in Central Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Tochigi Kahoko、Steyaert Sam M. J. G.、Fukasawa Keita、Kuroe Misako、Anezaki Tomoko、Naganuma Tomoko、Kozakai Chinatsu、Inagaki Akino、Yamazaki Koji、Koike Shinsuke
    • 雑誌名

      Mammal Study

      巻: 48 ページ: 1-14

    • DOI

      10.3106/ms2022-0034

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Response to human-modified landscape of an apex consumer: Sex- and season-related variations in road selection and movement pattern2023

    • 著者名/発表者名
      Baek Seung-Yun、Shimazaki Aya、Zedrosser Andreas、Naganuma Tomoko、Yamazaki Koji、Koike Shinsuke
    • 雑誌名

      Global Ecology and Conservation

      巻: 46 ページ: e02603~e02603

    • DOI

      10.1016/j.gecco.2023.e02603

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Lead level in blood of Asian black bears in two different areas in central Japan2023

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki K, Ishizuka M, Nakayama S, Banda N, Koike S, Yusuke G, Yamazaki K, Nemoto Y, Fuchs B, Arnemo JM
    • 学会等名
      16th ASCM Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] ツキノワグマは豊作年を経験するほど大きくなる?―ブナ科堅果の結実豊凶による頭骨サイズへの影響―2023

    • 著者名/発表者名
      栃木香帆子・高山楓・深澤圭太・姉崎智子・黒江美紗子・丸山哲也・長沼知子・山﨑晃司・小池伸介
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [学会発表] Hidden Markov Modelを用いたツキノワグマの活動内容の精度検証2023

    • 著者名/発表者名
      小池伸介・島崎 斐・Seungyou Baek・長沼知子・栃木香帆子・稲垣亜希乃・後藤優介・竹腰直紀・山﨑晃司
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [学会発表] ツキノワグマにおける血液DNAのメチル化レベルを指標とした年齢推定. 2023年度日本哺乳類学会大会2023

    • 著者名/発表者名
      下鶴倫人・中村汐里・山﨑淳平・玉谷宏夫・山﨑晃司・小池伸介・後藤優介・長沼知子・栃木香帆子・稲垣亜希乃・伊藤英之・坪田敏男
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [学会発表] ツキノワグマ越冬穴の森林生態系での役割の評価2023

    • 著者名/発表者名
      伊藤未羽・竹腰直紀・小池伸介・山﨑晃司
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [学会発表] An attempt to analyze the effects of birth and nursing cubs on the activity level of black bears during hibernation and mating season2023

    • 著者名/発表者名
      Xin L, Takekoshi N, Tochigi K, Naganuma T, Kozakai C, Koike S, Yamazaki K
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [学会発表] ツキノワグマの道路横断に対する性別および季節の影響2023

    • 著者名/発表者名
      Seungyun Baek・長沼知子・山﨑晃司・栃木香帆子・稲垣亜希乃・後藤優介・竹腰直紀・小池伸介
    • 学会等名
      2023年度日本哺乳類学会大会
  • [図書] 大型野生動物学と人類学のGPS・生態情報計測研究の最先端と今後の課題2024

    • 著者名/発表者名
      山﨑晃司(分担執筆)
    • 総ページ数
      90
    • 出版者
      東京外語大学アジア・アフリカ言語文化研究所
    • ISBN
      978-4-86337-501-7

URL: 

公開日: 2024-12-25  

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