研究課題/領域番号 |
22H02406
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 研究員 (80151926)
|
研究分担者 |
山村 正臣 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 准教授 (00948367)
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (20734221)
小野 直亮 奈良先端科学技術大学院大学, データ駆動型サイエンス創造センター, 准教授 (60395118)
金谷 重彦 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90224584)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ポドフィロトキシン / リグナン / 統合ゲノム科学 / 発現遺伝子解析 / 代謝物解析 |
研究実績の概要 |
ポドフィロトキシンは、ヒノキ科樹木やメギ科・セリ科の多年草が産生する抗腫瘍性リグナンであり、抗がん薬の生産原料として用いられている重要化合物である。近年研究代表者らは、ポドフィロトキシンの生合成経路が植物種により異なり、それぞれ独自に収斂進化してきたことを明らかにした。しかし、その代謝統御機構の全貌解明には至っておらず、昨今急速に進歩している統合ゲノム解析に基づくこれらの並行経路の統御機構の総合的解明が必須となっている。本研究では、ポドフィロトキシン産生植物につき、ゲノム情報解析、発現遺伝子網羅解析、代謝物解析を進め、これらの情報を統合的に解析することによりポドフィロトキシン生合成並行経路統御系の独自性と共通性を含めた統御の全体像の解明を進める。本年度は、標的植物のスパシオテンポラルな遺伝子発現網羅解析データ取得とアノテーション、標的植物のゲノム情報取得、及びこれらの情報を用いた標的植物のゲノム情報解析に関する実験を進めた。さらに、各種植物ゲノム上のリグナン生合成系遺伝子の探索とリグナン生合成全体像の解明にむけて、未同定のポドフィロトキシン生合成系遺伝子を取得し、その組換え酵素を用いた機能解析を進めた。特に、ポドフィロトキシン生合成における鍵段階の一つであるテトラリン環形成酵素につき、活性中心のアミノ酸残基を置換した変異酵素を作出し、当該酵素の機能解析を行った。その結果、各種植物のポドフィロトキシン生合成系酵素の構造と機能の相違について新知見を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、ポドフィロトキシン産生植物につき、ゲノム情報解析、発現遺伝子網羅解析、代謝物解析を進め、これらの情報を統合的に解析することによりポドフィロトキシン生合成並行経路統御系の独自性と共通性を含めた統御の全体像の解明を進めることを目的としている。このため、1)標的植物の発現遺伝子の網羅解析、2)標的植物におけるリグナンの網羅解析及び、3)標的植物ゲノム上のリグナン生合成系遺伝子の探索とリグナン生合成全体像の解明の3項目を設定した。 本年度は、以上のうち、標的植物のスパシオテンポラルな遺伝子発現網羅解析データ取得とゲノム情報の取得と解析に関する実験を進めるとともに、標的植物について、標的植物ゲノム上のリグナン生合成系遺伝子の探索にむけて、未同定のポドフィロトキシン生合成系遺伝子を取得し、その組換え酵素を用いた機能解析を進めた。以上の様に当初の計画通り研究を進展させている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、以下に示すように当初計画通りである。 1)各種植物の発現遺伝子の網羅解析:前年度に引き続き、標的植物につき異なる生育時期と組織から抽出したRNAについて、様々な生育時期と組織に関する遺伝子の発現状況の網羅解析を進める。 2)各種植物におけるリグナンの網羅解析:前年度に引き続き、標的植物につき異なる生育時期と組織から二次代謝産物を溶媒抽出し、ポドフィロトキシン生合成前駆体を中心にリグナンのスパシオテンポラルな検出を行う。 3)各種植物ゲノム上のリグナン生合成系遺伝子の探索とリグナン生合成全体像の解明:各種植物のゲノムデータから、解析用の研究グループ内(インハウス)データベースを作成する。さらに、機能未知酵素遺伝子の機能解析、及び機能既知酵素遺伝子の情報を用いた遺伝子発現とリグナン検出の同時性(同期性)の解析を基盤として、ポドフィロトキシン生合成系酵素遺伝子及び転写因子などの制御系遺伝子を網羅的に抽出する。
|