研究課題/領域番号 |
22H02408
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80407874)
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研究分担者 |
堀澤 栄 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (20368856)
久保島 吉貴 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (40353669)
加藤 英雄 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60370277)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 木杭 / 地盤改良 / 室内試験 / 現地試験 / 引抜き抵抗 |
研究実績の概要 |
本研究は、長い歴史を持つ木杭の地盤改良への積極活用を目標に、木杭打設後の地盤強度や構造物を支える支持力の大幅な増加を実験などから科学的に実証し、コンクリートや鋼材などの人工材料にない優れた特徴を解明することを目指している。本年度は、地盤工学と木材工学に精通する研究者と企業研究者の計7名が協働しながら、主として下記に記す4項目の室内試験、現地実験を行った。 (1)地中埋設木杭を模擬したモデル土槽の作製:飽和和地盤内に埋設された木杭と土の経年変化、木杭と土からの成分溶出と、埋設された木杭の引抜き抵抗力を把握するため、幅、高さ、奥行が約1mの剛容器を複数個準備し、敷地造成や埋め立てなどでの利用実績の多い中間土(茨城産まさ土)による模型地盤と木材を埋設したモデル土槽を作製した。モデル杭は材長約400mmで、ヤング率が既知な木杭(直径:140mmに成形)と、同一スケールの鋼杭、コンクリート杭の3種類を準備した。木杭は材種や木杭の端面、側面性状の違いと土の付着程度との関係を比較するため、樹種(スギ、カラマツ)、表面性状(清、粗)、木口シール有、無の複数を用意した。土中には土槽は実木杭と等しい環境条件を設定するため森林総研内に配置し、土の飽和条件を保ちながら屋外に保管した。(2)地盤の貫入試験と実木杭の引抜き試験:(1)で作成した土槽の木杭打設前後の土の貫入抵抗値(Nd値)を求め、埋設直後の地盤の密度や地盤の強度特性を算定した。続いて、油圧装置により土槽内に埋設したモデル杭の埋設直後の引き付き試験を行い、荷重~変位関係などから土との境界部に作用する引抜き抵抗力を計算した。(3)地盤特性の評価:(1)に用いた土の物理特性を室内試験により分析し、用いた試料の特徴を、土の粒度組成、模型地盤の締固め密度などの観点で評価した。本結果は、次年度以降実施する木杭周囲に付着した土との比較に利用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響で研究活動が制限され、かつ資材の準備が遅延する中に於いて、複数のモデル土槽の作製とモデル杭の埋設、地盤特性の把握と埋設直後の引き抜き試験を実施することができた。埋設直後の引き抜き試験は、作業の遅延が予測されること、作業の手間を要するなどの理由から当初計画にはなかったが、建設初期の状況を模した杭の支持力の違いを把握することができ、今後予定する施工経過年数と木杭の支持力の変化をより具体的かつ定量的に示す指標が取得できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は研究開始2年目であり、作成したモデル土槽に対する貫入試験、引抜き試験を継続し、本年度の結果と比較する。さらに、木杭に付着した土の採取と固化の程度、固化要因の生物、化学分析を行う。引抜かれたモデル木杭の健全度は、断面寸法、質量、含水率の計測と、縦振動法などで得られたヤング率から評価するとともに、引抜いた木杭に付着した土を引抜き後直ちに採取し、土の固化要因を複数の分析法により評価する。
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