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2022 年度 実績報告書

全国を対象とした田んぼダム・ため池の流域治水ポテンシャル評価手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22H02454
配分区分補助金
研究機関新潟大学

研究代表者

吉川 夏樹  新潟大学, 自然科学系, 教授 (90447615)

研究分担者 田中丸 治哉  神戸大学, 農学研究科, 教授 (80171809)
長野 宇規  神戸大学, 農学研究科, 准教授 (70462207)
宮津 進  新潟大学, 自然科学系, 助教 (30757844)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード田んぼダム / ため池 / ポテンシャルマップ / 洪水軽減 / 相乗効果
研究実績の概要

本研究は,流域治水への貢献が期待されている田んぼダムおよびため池・農業用利水ダムの事前放流の取組みを対象に,その洪水軽減ポテンシャルを全国規模で網羅的に評価する手法を開発し,国や地方自治体などの計画主体が流域治水にかかる施策を展開する上で不可欠な取組適地や効果規模などの基礎的情報を提供することを目的とする.本目的達成に向けてため,2022年度は要素研究として,(1)田んぼダムおよび(2)ため池の洪水軽減ポテンシャルを流域スケールで評価する手法を構築するとともに,(3)衛星リモートセンシングによってため池の湛水面積を推定する手法を確立した.
(1)田んぼダムの評価手法については,一級水系の一次支川流域スケールで構築した.「氾濫解析モデル」による洪水ピーク低減率を,流域面積に対する水田面積率のみで推定するモデルを開発し,高い再現結果を得ることができることを示した.また,機械排水流域においても,水田面積率と排水比流量によって浸水面積減少率を推定する線形回帰モデルを構築し,一定の精度で再現できることが明らかとなった.
(2)ため池の簡易評価手法については,これまで対象地区が兵庫県の2地区に限定されていたが,提案手法の一般化を図るため二次曲線で示される推定式の立ち上がり点と飽和点を「地域総合化パラメータ」として降雨量から推定する手法を確立した.また,簡易評価手法の妥当性を検証するため,新潟大学が開発した「内水氾濫解析モデル」を加古川水系万願寺川流域に適用した.今後はこれらの結果を比較して,手法の妥当性を検証する予定である.
(3)衛星リモートセンシングによってため池の湛水面積を推定する手法については,兵庫県淡路市,新潟県上越市を対象に,合成開口レーダ画像を用いた手法を開発した.山間部においては,スペックルノイズの発生によって,推定精度が低下したため,ノイズ処理法の改良を進める予定である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2022年度に予定していた検討事項は全て達成したため,研究は順調に進展している.ため池,田んぼダムともに洪水軽減の簡易評価手法のプロトタイプは既に確立しており,2年目は手法の一般性を高めるためのサンプル数の増やすとともに,パラメータ決定手法の精緻化の検討を進める.リモートセンシングによる水稲水田の判別手法は概ね良好な結果が得られているが,上述の通りため池の湛水面積推定の精度向上を図るには,ノイズ処理方法の検討が必要である.

今後の研究の推進方策

残り2年間で,全国スケールでポテンシャルマップの作成を目指しているが,まずは,当初予定の通り,1年目に構築したため池・田んぼダムの簡易評価手法を当初の一級水系スケール(加古川および信濃川流域)に適用し,マップのプロトタイプを作成する予定である.また,衛星リモートセンシングによるため池の貯水管理実態の把握については,1年目の研究で課題が明らかとなったことから,「ノイズ処理」の方法を検討する予定である.この手法を確立し,洪水軽減ポテンシャルの計算に反映させることで,最終年に予定している全国規模のポテンシャルマップの作成に向けて,仔細な技術的課題を解決する.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 簡易推定法による事前放流の洪水軽減効果が大きいため池の選定2022

    • 著者名/発表者名
      田中丸治哉・喜田直也・多田明夫
    • 雑誌名

      水土の知

      巻: 90(6) ページ: 401-404

    • 査読あり
  • [学会発表] 流域治水における田んぼダムの可能性2022

    • 著者名/発表者名
      吉川夏樹
    • 学会等名
      2022年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] 流域治水対策の評価に向けた氾濫解析モデルの開発2022

    • 著者名/発表者名
      岩村祐暉・田嶋カオル・吉川夏樹・宮津進・高野陽平
    • 学会等名
      2022年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] 環境変化条件下における農業用排水機場ポンプ能力の簡易評価手法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      高野陽平・吉川夏樹・赤堀悦朗・佐藤賢治・稲垣政則・佐藤淳亮
    • 学会等名
      2022年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] 事前放流による洪水軽減効果が大きいため池を選定する方法2022

    • 著者名/発表者名
      田中丸治哉・喜田直也・多田明夫
    • 学会等名
      水文・水資源学会/日本水文科学会2022年度総会・研究発表会
  • [学会発表] 事前放流による洪水軽減効果が大きいため池の選定2022

    • 著者名/発表者名
      田中丸治哉・喜田直也・多田明夫
    • 学会等名
      2022年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] 合成開口レーダ画像によるため池貯水量監視の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      森口里南・長野宇規・井上隆之・吉川夏樹
    • 学会等名
      2022年度農業農村工学会大会講演会
  • [学会発表] Development of field-specific discrimination method for various paddy rice2022

    • 著者名/発表者名
      Chen Sangyu, Takanori Nagano, Natsuki Yoshikawa
    • 学会等名
      PAWEES 2022 Conference in Fukuok
    • 国際学会
  • [図書] 水文・水資源ハンドブック(第二版)2022

    • 著者名/発表者名
      田中丸治哉(共著)
    • 総ページ数
      640
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      978-4-254-26174-5

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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