研究課題/領域番号 |
22H02458
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
前田 守弘 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (00355546)
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研究分担者 |
仁科 勇太 岡山大学, 異分野融合先端研究コア, 研究教授 (50585940)
赤尾 聡史 同志社大学, 理工学部, 教授 (30448196)
諸泉 利嗣 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (60230174)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微生物燃料電池 / リン / 温室効果ガス / 酸化還元 / 微生物群集 |
研究実績の概要 |
農業排水路には周辺から流出した肥沃な土壌が堆積しており,水質改善や温室効果ガス排出削減が求められる.本研究の目的は,地域未利用資源を用いたナノバイオ炭に酸化鉄を担持させ,その底質混和によって,農業排水路底質からのリン溶出,CH4,N2O排出を同時に削減できる底質微生物燃料電池(SMFC)を開発することである.本年度は,児島湖周辺の農地を流下する農業排水路から底質を採取し,バイオ炭および鉄資材を混和したSMFCを作成した.また,兵庫県の水田土壌にSMFCを適用し,イナワラ施用の影響を調べた. 児島湖周辺の水田を流下する農業排水路底質にSMFCを適用したところ,非晶質の水酸化鉄を底質に混和することによって,底質からのリン溶出を大幅に削減できることがわかった.また,嫌気状態ではバイオ炭施用がリン溶出抑制に有効であった.また,水田土壌を用いた試験では,イナワラ施用量が多い場合にSMFCによるCH4排出抑制が認められた.ナノバイオ炭の開発については,鉄イオンの添加量および加熱方法の検討を実施し,1 wt%の鉄イオンの添加で黒鉛の結晶成長が進行することや,加熱方法としては電気炉加熱よりもマイクロ波加熱が適していることなどがわかった.微生物群集構造解析に関しては,上述のSMFC実験に用いたアノード付近の底質について調べ,細菌群集構造と環境条件との関係性を考察した.水田土壌を用いた試験では,イナワラ施用量とSMFC回路のON/OFF条件について明確に細菌群集構造が分かれることを確認した.モデル開発に関しては,まず,複数のサブモデルからなる機構モデルと電気化学的アナロジーと経験則を用いる応用モデルに関して比較・検討し,本研究では応用モデルを基本とすることとした.次に,アノードの構造や底質内における電子の律速を内部抵抗で,微生物増殖の効果を内部コンデンサでそれぞれ表現する,応用モデルの一種である等価回路モデルの構築について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通り研究を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に沿って研究を実施する.研究成果は国内外の学会で発表するとともに,速やかに論文化し,学術雑誌に随時投稿する.現地交流会や研究会を対面で開催し,学生を含めた研究者間の交流を図る.
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