研究課題/領域番号 |
22H02459
|
配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
武山 絵美 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (90363259)
|
研究分担者 |
横山 真弓 兵庫県立大学, 自然・環境科学研究所, 教授 (50344388)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | ニホンジカ / ツキノワグマ / イノシシ / 土地利用 / 生息地 / 地理的条件 |
研究実績の概要 |
ニホンジカの個体数が急増している地域において、生体捕獲を実施し、GPS首輪を2頭に装着し、行動追跡を行った。またすでに蓄積されたツキノワグマのGPSデータを用いて、人為的環境を横断するポイントの地理的な特徴の抽出を行った。国道レベルの大きな道路を横断する際には、横断距離が最も近くなる場所を選択的に利用していることが明らかとなった。その一方、地形が入り組んだ集落への侵入は、明確な特徴がないことが明らかとなった。地形だけでなく、人の利用状況などとの関連性が示唆された。またGPSデータと地理的な連結性と分断性を分析する手法を検討するため、現地調査ドローン調査を行い可視光及び点群データを取得した。 また、イノシシの市街地出没が急増している地域において、現地踏査および土地利用調査から市街地出没ルートを確定し、移動経路になりやすい地形・土地利用条件を抽出した。耕作放棄地が飛び石状に点在するエリアでは、アスファルト道路がイノシシの移動経路として特に容易に利用されやすく、耕作放棄地と道路の往来を阻害する柵の設置が行われている場所では、道路が移動経路として利用されづらいことがわかった。これを踏まえ、GIS上でイノシシの移動経路になりやすく、生息地の連結性を高めるポイントを抽出する技術について、検討を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生動物の移動経路の把握に成功している。また、移動経路データをGISに取り込み、地理的条件との関連性にかかる分析も進んでいる。現時点では、当初想定していた「既存の土地利用データべースの活用」が、データベースの不完全性によりやや滞っているが、データベースの補完方法の検討も進んでおり、研究成果が上がっているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
R4年度に構築した土地利用データベースを用いて,R5年度に明確にした連結性の定義に基づき,動物種別に生息地の連結性を分析する.分析にあたり,連結性を自動計算させるアルゴリズムを開発し,R4年度に構築したGISクラウドシステムに追加装備して,広域レベルを対象とした分析の自動化を実現する. また,これと平行し,R7年度の分析作業に向けて,効果的な生息地分断カ所の定義を明らかにする.先行研究では,①柵の施工および維持管理のしやすさと,②集落・農地周辺の野生動物被害を優先的に軽減させることを重視し,「集落・農地周辺の小規模生息地とその周辺の山林に広がる大規模生息地を,短距離かつ農地・道路に沿う場所で分断できるポイント」を効果的な生息地分断カ所と定義していた.しかし,広域レベルで野生動物の生息地の拡大を制御する観点から見れば,効果的な生息地分断カ所には,③動物種別に見た平均季節移動距離や1頭あたりの必要餌資源量に基づき,個体群を適正規模に制御しうる生息地面積に分断できるポイント,であることが求められる.そこで,申請者らがこれまでの研究にて継続的に入手してきた研究対象フィールド内での野生動物の季節移動性や生息地面積に係るデータを,R4年度に構築したデータベースに組み入れて「個体群を適正規模に制御しうる生息地面積」を分析する.これにより,動物種別に,上記①~③を考慮した生息地の「効果的な生息地分断カ所」の定義を明確にする.
|