研究課題/領域番号 |
22H02473
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
野田 悟子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (80342830)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 乳酸菌 / シロアリ / 共生微生物 |
研究実績の概要 |
シロアリの腸内には多様な微生物が生息しており、複雑な共生微生物群集を構築している。しかし、それらのほとんどは培養が難しい未培養種であり知見は非常に限られている。これらの腸内微生物のうち一部の細菌は培養が可能で、乳酸菌類が優占種であることが報告されている。本研究では、幅広い宿主種から共通して見出される乳酸菌に着目し、共生系機能の恒常性維持や 機能発現に果たす役割に関する知見を得ることを目的とする。 昨年度までに複数のシロアリ種から新たな乳酸菌の分離を行った。今年度は、これらの共生乳酸菌の存在比率を定量PCRで検出するために、単離した乳酸菌の遺伝子配列から設計したプライマーの設計とPCR条件の検討を行なった。一部の乳酸菌株については、特異的検出のために引き続き条件検討を行う予定である。また、シロアリに他種のシロアリから単離した乳酸菌を経口摂取させる条件検討を合わせて行なった。乳酸菌株によっては、酸素耐性が低いために餌となるセルロースパウダー中での生存率が低いことから、餌交換の頻度を上げることが必要と判断した。外来の乳酸菌を摂取させたシロアリの腸内からDNA を継時的に抽出し、次世代シーケンサーで微生物相を解析した。しかし外来の乳酸菌の検出量が非常に少なかった。そのため、高い菌体濃度で餌に混合することが可能か、検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、昨年度までに複数のシロアリから分離したLactococcus属の単離株について、定量PCRで検出するためのプライマー設計や予備実験を行なった。広範な宿主からの検出を行うために一部のサンプルも準備済みである。ほぼ計画通りに研究を推進していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、初年度に単離した株の本来の宿主以外のシロアリ種への定着性などの解析を進める。まず、シロアリの餌に混合して摂食させ、在来乳酸菌と外来乳酸菌株の生残性などをを定量PCRで計数する。また、シロアリコロニーのサンプル数を増やして、対象とする乳酸菌の野外宿主コロニーへの感染率(共生率)について確認を行う予定である。
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