研究課題/領域番号 |
22H02475
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
山本 昭範 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20733083)
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研究分担者 |
常田 岳志 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境研究部門, 上級研究員 (20585856)
内田 義崇 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (70705251)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 一酸化二窒素 / 有機物資材 / 物理化学性 / 土壌微生物 / 農耕地 |
研究実績の概要 |
農耕地への有機物施用は作物生産を支える土壌機能の維持に不可欠であるが、土壌中の微生物の働きにより強力な温室効果ガスである一酸化二窒素(N2O)増加の原因にもなっている。本年度は有機物資材の化学性としてpHを数段階に調整した堆肥混合肥料を作成して、pH条件とN2O発生量の関係、連用施用がpH条件とN2O発生の関係に与える影響、pH条件が堆肥混合肥料および土壌における微生物作用に与える影響、N2O発生と土壌微生物の多様性の関係を明らかにすることを目的とした。まず、全てのpH条件において、堆肥混合肥料からN2O発生が見られた。その程度はpH条件で異なり、堆肥混合肥料由来の積算N2O発生量はpHが高くなるにつれて増加する傾向を示した。また、黒ボク土を用いた土壌培養実験では、施用後のN2O発生量が堆肥混合肥料pHおよび連用回数によって異なった。この実験において、堆肥混合肥料由来N2O発生は堆肥混合肥料pH/施用時土壌pH比と関係が見られ、堆肥混合肥料と土壌のpH差が大きいほどN2O発生が低下することが明らかになった。次に、選択的阻害剤を堆肥混合肥料または土壌に添加して、N2O発生に対する細菌と真菌の寄与を検証した。堆肥混合肥料におけるN2O生成にはpH条件に関わらず細菌の寄与が大きく、土壌においてはpH条件で細菌と真菌の寄与が異なることが明らかになった。また、有機物施用後のN2O発生に対する土壌微生物の多様性の影響を検証するための実験系を確立した。さらに、有機物資材の物理性として成型タイプを変えて堆肥混合肥料を作成し、土壌培養実験に供した。その結果、N2O発生に対する成型タイプの影響は土壌の水分条件によって異なり、高水分条件においては低水分条件と比べてN2O発生量は増加するが、成型タイプの影響は小さくなることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、有機物資材の物理化学性の中でpHや成型タイプなどを調整することで、各性質がN2O発生に与える影響やそのメカニズムを明らかにすることを目的とした。そこで、化学性や物理性を調整した複数の堆肥混合肥料を作成し、N2O発生や微生物作用との関係を培養実験により調べた。その結果、N2O発生が堆肥混合肥料pHや有機物資材の種類、成型タイプなどによって異なることを明らかにした。また、N2O発生に対する細菌・真菌の寄与が堆肥混合肥料pHの影響を受けることを明らかにした。さらに、N2O発生に対する土壌微生物の機能遺伝子発現や多様性の影響を検証するための実験系を確立した。以上から、本年度の目的を達成し順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の結果を考慮して、有機物資材の性質の調整により堆肥混合肥料の理化学性を変えて実験を行い、有機物資材の理化学性のN2O発生および微生物作用に与える影響を調査する。まず、有機物資材の性質の組合せがN2O発生に与える影響を明らかにするため、異なる性質(物理性、化学性)を調整する堆肥混合肥料を作成して実験を行う。また、有機物資材の細かさの調整、有機物資材の分解特性の調整に着目した堆肥混合肥料を作成してN2O発生や施用有機物の窒素フローとの関係を調査する。さらに、今年度の研究で確立した土壌微生物の影響を検証する実験系を用いて、有機物施用後のN2O発生と土壌微生物の多様性の関係、また、有機物資材の理化学性と機能遺伝子発現の関係を調べる。
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