研究課題/領域番号 |
22H02477
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
近藤 誠 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50432175)
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研究分担者 |
橋本 篤 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (40242937)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 肉牛 / デンプン / 消化率 |
研究実績の概要 |
黒毛和種肥育牛のデンプンの利用効率(消化率)を4か所の異なる農場にて測定した。頭数は雌7頭、去勢15頭を供試し、試験を繰り返すことで延べ61頭(11.7~30.0か月齢)から消化率の測定を行った。馴致飼育を1~2週間行ったのち、連続した5日間で給与飼料、残食、糞を収集した。飼料、残食、糞中の酸不溶性灰分含量をマーカーとして飼料全体の消化率を算出した。その後、それらに含まれるデンプン含量を測定し、デンプンの消化率を実測した。 その結果、本研究で対象とした肥育牛が採食していた給与飼料中のデンプン濃度は19.8~47.0%で平均35.3%だった。デンプン消化率は83.9~99.8%、糞中デンプン濃度は0.2~15.3%と分布しており、両者には強い負の線形関係があることが認められた。これらよりデンプン消化率を推定する式としてy=99.6-0.83x , y;デンプン消化率(%),x;糞中デンプン含量(乾物中%)(N=61, R2=0.87を得た。この式から推定したデンプン消化率の推定値と実測した消化率の差は平均で±1.08%ポイント(最大+3.18~最小-2.95%ポイント)であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
黒毛和種において糞中デンプン含量のみからデンプン消化率を予測できる可能性を示した。特に単一の農場ではなく、飼育環境が異なる4か所の農場でデータを取得できたことから、得られた推定式は汎用的であり、農家現場や研究機関でも利用できる可能性を十分に有している。今後、例数を増やすことで、より確かな推定式を構築することに繋がる。
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今後の研究の推進方策 |
糞中デンプン含量のみから黒毛和種肥育牛のデンプン消化率を予測する推定式を作成するために、本年度と同様に、4か所の農場にて供試頭数を追加してデンプン消化率の測定を行う。延べ100頭以上のデータを蓄積したうえで、推定式を作成する。また、海外の肥育牛を対象にデンプン消化率を測定した研究事例を収集し、同様にデンプン消化率と糞中デンプン含量の関係式を作成する。本研究で構築する黒毛和種肥育牛のデンプン消化率推定式と海外の肥育牛を対象にした推定式を比較し、類似性や相違性を検証する。
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