研究課題/領域番号 |
22H02483
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
圓山 恭之進 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生物資源・利用領域, プロジェクトリーダー (10425530)
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研究分担者 |
浅井 英利 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (30599064)
庄司 翼 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 教授 (40343272)
山本 義治 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (50301784)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 乾燥 / 低温 / UV / トランスクリプトーム / メタボローム / 黒米 |
研究実績の概要 |
本研究では複合環境ストレスに応答する黒米のフラボノイド生合成制御メカニズムを明らかにする。我々は薬として利用されているラオスの有色米を用いてメタボローム解析を行った結果、フラバノノールの一種であるタキシフォリンとフラボノール配糖体のイソクエルシトリンをイネ科作物では初めてラオスの黒米で同定した。さらに、ラオスの多様な環境でこの黒米の栽培試験を行った結果、同定した代謝物は、乾燥、低温、UV等の複合環境ストレスに応答して、顕著に蓄積量が増加することが示唆された。 我々は黒米と白米の比較ゲノム・トランスクリプトー ム・メタボローム解析やゲノム編集で乾燥、低温、UV等の複合環境ストレスに応答するフラボノイド生合成制御メカニズムを明らかにして、圃場におけるイネの環境応答を考察する。さらに、黒米の制御因子を日本産米に導入してタキシフォリン等を蓄積する日本の中山間地に適した育種素材開発を行う。 ラオス産等の黒米と日本晴等の白米のフラボノイド生合成に係る遺伝子群の比較解析を行い、ラオス産黒米に特有なフラボノイド生合成に係る制御遺伝子を考察する。 2022年度は乾燥ストレス環境で栽培した黒米を用いて、CAGE(Cap-Analysis Gene Expression)による比較トランスクリプトーム解析で、フラボノイド生合成に関与する黒米で特有に発現する遺伝子を選抜した。上記の解析結果を利用して、フラボノイド生合成に係る遺伝子のプロモーターをラオス産黒米のゲノムから抽出して、転写制御に係るシス因子を選抜した。さらに、全ゲノムを完全解読しているラオス産黒米と福井の主要品種を交配して、タキシフォリン等を蓄積する育種素材開発を開始した。また、ラオスの米は日本の本州では出穂しないため、国際農研の熱帯・島嶼研究拠点(石垣市)の気温や土壌水分含量が計測できる畑や水田と短日条件で栽培できる温室で栽培試験を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度に計画した研究を実行することができ、ラオス産等の黒米と日本晴等の白米のフラボノイド生合成に係る遺伝子群の比較解析を行い、ラオス産黒米に特有なフラボノイド生合成に係る制御遺伝子を考察した。具体的には、乾燥ストレス環境で栽培した黒米を用いて、CAGE(Cap-Analysis Gene Expression)による比較トランスクリプトーム解析で、フラボノイド生合成に関与する黒米で特有に発現する遺伝子を選抜することができた。また、上記の解析結果を利用して、フラボノイド生合成に係る遺伝子のプロモーターをラオス産黒米のゲノムから抽出して、転写制御に係るシス因子を選抜した。また、黒米の育種素材開発や熱帯・島嶼研究拠点等における栽培試験も順調に行えた。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、ラオス産等の黒米と日本晴等の白米のフラボノイド生合成に係る遺伝子群の比較解析を行い、ラオス産黒米に特有なフラボノイド生合成に係る制御遺伝子を考察する。具体的には、低温ストレス環境で栽培した黒米を用いて、CAGE(Cap-Analysis Gene Expression)による比較トランスクリプトーム解析で、フラボノイド生合成に関与する黒米で特有に発現する遺伝子を選抜する。上記の解析結果を利用して、フラボノイド生合成に係る遺伝子のプロモーターをラオス産黒米のゲノムから抽出して、転写制御に係るシス因子を選抜する。さらに、全ゲノムを完全解読しているラオス産黒米と福井の主要品種を交配して、タキシフォリン等を蓄積する育種素材開発を継続する。また、ラオスの米は日本の本州では出穂しないため、国際農研の熱帯・島嶼研究拠点(石垣市)の気温や土壌水分含量が計測できる畑や水田と短日条件で栽培できる圃場または温室で栽培試験を継続して行う。
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