研究課題/領域番号 |
22H02487
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
加藤 創一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 上級主任研究員 (30597787)
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研究分担者 |
花島 大 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, グループ長 (20414708)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 微生物 / 菌体分解 / 細胞壁 / 菌叢解析 / トレーサー実験 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、細菌菌体や細菌細胞壁を分解する嫌気性微生物の集積培養を実施した。微生物源としては、湖沼底泥、水田土壌、堆肥、嫌気廃水処理汚泥などの多様な嫌気環境サンプルを使用した。分解基質としては、グラム陰性の大腸菌およびグラム陽性の放線菌・枯草菌などについて、その生菌体、死菌体、細胞壁抽出画分のいずれかを使用した。用いた微生物源、基質によってメタン生成の速度や量は異なったものの、多くの培養系でメタンの生成がみられ、また継代培養によってそのメタン生成活性は向上していき、細菌菌体や細胞壁分解微生物群集が集積されていることが確認された。またこれらの集積培養を微生物源とし、菌体成分や菌体そのものを基質として増殖可能な微生物の分離培養を試みた。その結果、菌体成分や菌体そのものを分解し増殖可能な嫌気性微生物を複数種取得することができた。また次年度に実施を予定している菌体外酵素の特定に向けた予備検討として、ペプチドグリカンや細菌細胞壁粉末を混ぜ込んだゲルを使用したPAGE解析を検討し、クリアゾーンを形成するペプチドグリカン・細胞壁分解酵素を取得しそのアミノ酸配列情報を決定可能であるという結果を得た。また来年度に実施を予定していた、細菌菌体・細胞壁の分解微生物の特定に向けた13Cラベル化菌体を使用した実験については、ラベル化菌体の調整や添加時期、添加量についての事前検討を実施し、次年度以降の本実験に向けた準備を整えることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和5年度までに実施を予定していた細菌菌体・細胞壁の集積培養、微生物群集構造解析、および分離培養を実施し、十分な成果を得ることができた。令和6年度に実施を予定していた13Cラベル細菌菌体を使用した実験、および菌体外酵素を特定するための実験についても、その条件検討を行い実施の準備を整えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに構築した、微生物菌体および細菌細胞壁分解集積培養系を使用したトレーサー実験を行い、分解に直接関与する微生物種の同定を試みる。基質として使用する大腸菌等の細菌を13C-グルコースを唯一の炭素源として培養し「13Cラベル菌体」を調整し、さらにそこから「13C-細胞壁」、および「13C-ペプチドグリカン」を抽出・調整し、添加基質として使用する。集積培養物の培養過程で13Cラベル基質をスパイク添加し、数時間後に菌体を回収、RNAを抽出する。13Cが取り込まれた重いRNAと通常のRNAとを超遠心により分画し、それぞれの16S rRNAの塩基配列を次世代シークエンス解析により決定し、13C基質を取り込んだ細胞壁・ペプチドグリカンの分解・資化能を持つ微生物種を同定する。また前年度に引き続き、微生物菌体および細菌細胞壁分解集積培養系から分解微生物の単離を実施するとともに、分離株が菌体外に放出する分解酵素の同定を試みる。前年度までに、ペプチドグリカンや細菌細胞壁粉末を混ぜ込んだゲルを使用したPAGE解析により、クリアゾーンを形成するペプチドグリカン・細胞壁分解酵素を取得しそのアミノ酸配列情報を決定可能であるという結果を得ており、この手法を用い、単離菌の培養上清からペプチドグリカン分解酵素を取得しLC-MS/MS解析に供することで、単離株のゲノム解析データと合わせ酵素情報を特定する。
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