研究課題/領域番号 |
22H02499
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
音井 威重 徳島大学, バイオイノベーション研究所, 教授 (30311814)
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研究分担者 |
平田 真樹 徳島大学, バイオイノベーション研究所, 講師 (10815583)
西垣 一男 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (20401333)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ゲノム編集 / ブタ / トランスフェクション / PRRS |
研究実績の概要 |
従来の装置を用いず、溶液に暴露するだけでCRISPR/Cas9系を受精卵に導入できる簡便なゲノム操作法について、暴露溶液に用いる導入原理の異なるトランスフェクション試薬を検討し、選択した試薬に応じた高効率なゲノム編集技術の確立を目指した。本年度は、3つの非ウイルスベクター導入試薬(脂質ナノ粒子、非リポソームポリマー、ペプチドシステム)を用いて、リボ核タンパク質複合体(RNP)の導入効率を比較した。ブタの透明帯フリーの接合体および胚を、Cas9、GGTA1を標的とするガイドRNA(gRNA)、および導入試薬のうち1つと5時間培養した。Cas9タンパク質とgRNAのモル比1:2、2:2、4:2とし、1倍量または2倍量の導入試薬を用い、体外受精(IVF)後10時間目の接合体に対して実施した。次に、体外受精後10時間目または29時間目の時点での、最適なモル比と導入試薬量を用いて導入時期を検討した。さらに、体外受精後10時間および29時間目の各試薬に応じた最適編集時期での組み合わせを検討した。各実験において、胚盤胞形成率および変異率を解析した。その結果、Cas9タンパク質:gRNAのモル比を4:2とし、試薬を2倍量添加することで、RNPを効率よく接合子にトランスフェクションすることができたが、接合子の胚盤胞形成率は低下する傾向にあった。また、最適な導入時間は試薬によって異なった。試薬の組み合わせにおける変異率は、試薬の種類にもよるが、単一試薬を介したトランスフェクションに比べて改善された。以上のことから、試験した各試薬において、いずれも発生した胚盤胞に変異を導入できるが、変異効率や胚発育の改善が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の当初計画のとおり、導入原理の異なるトランスフェクション試薬を検討し、胚の発生率および変異効率を指標に最適の試薬、試薬の組み合わせ、導入時期を検討しており、概ね順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
3つの非ウイルスベクター導入試薬(脂質ナノ粒子、非リポソームポリマー、ペプチドシステム)を用いて、ゲノム編集効率およびそれぞれの胚発生率を明らかにしているものの、編集効率および胚発生とも従来のゲノム編集手法であるエレクトロポレーション法に比較して低値を示している。このため、他の導入試薬(LP2000等)の検討が必要であり、その導入方法についてCD163遺伝子をターゲットに明らかにする。
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