研究課題/領域番号 |
22H02502
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奥羽大学 |
研究代表者 |
櫻井 敏博 奥羽大学, 薬学部, 准教授 (70568253)
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研究分担者 |
草間 和哉 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (30579149)
唄 花子 北海道大学, 農学研究院, 助教 (60775443)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ウシ / 栄養膜幹細胞 / 2核細胞 |
研究実績の概要 |
ウシ胎盤のin vitroモデルを開発するという長期的な目標に向けて、本研究では着床が成立する子宮内環境の解析ならびに着床前の胚で見られる二核化栄養膜細胞の分子機構を明らかにすることを目的としている。ヒトやマウスにおいては栄養膜幹細胞(trophoblast stem cell、TSC)が存在し、これがすべての胎盤構成細胞に分化する能力を有している。着床期における栄養膜幹細胞の存在は、妊娠成立に重要な役割を果たすと考えられている。しかしながら、ウシにおいてはヒトやマウスに比べ、着床・妊娠に関する研究を進める上で必要な各種胎盤構成細胞株のレパートリーが不十分である。そのため、ウシの着床に関する研究は、生体実験に頼ることが多く、in vitro でのウシ着床モデルの構築は極めて有用である。最近の研究では、妊娠7日目のウシ胚盤胞のLCDM(LIF、CHIR、DiMならびにMiH)培地での培養により、TSC様細胞の誘導が可能であり、さらにTSC様細胞から2種類の機能的な栄養膜細胞(IFNT分泌型(単核栄養膜細胞)とPL-1分泌型(2核化栄養膜細胞))への分化が報告された(Wang et al., 2023)。この成果を受け、我々もウシTSCの樹立および2核細胞へと分化誘導に取り組んだ。具体的には、ウシ栄養膜細胞株であるF3細胞およびBT-1細胞を用いて同様の実験を行っている。F3細胞は約5ヶ月齢の胎児子葉から樹立された細胞株であり、現段階ではLCDN培地での培養ではTSCへの分化は確認できていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒトやマウスで実績のあるTSCの誘導法を用いて、ウシ栄養膜細胞株のTSCへの誘導を試みているが、TSCの樹立には至っていない。そのため、ウシ2核細胞への誘導法の検証に遅れが出ている。一方で、新たなウシ内在性レトロウイルス(BERV)の解析は進展しており、昨年度見出したBERV-12571の機能解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
我々の研究目標は、ウシ栄養膜細胞の2核細胞への誘導法の確立とその機序を解明することである。TSCの樹立においてLCDM培地での誘導ができなかった場合、栄養膜細胞に特異的に発現する遺伝子群のトランスフェクションによって樹立する方針をとる。我々の目的はあくまでも2核細胞への分化機構の解明であるため、TSCの樹立には固執しない。栄養膜細胞の2核細胞への分化を誘導するためには、子宮内因子や接着刺激因子の同定が必要である。これにより、着床前の胚が2核細胞へと分化するプロセスを理解し、それに基づいて効果的な誘導法を開発していく。また、BERV-12571に関する機能解析も同時に進行する。このBERVの機能を解明することは、着床前の胚と精巣での高い発現パターンから、ウシ胚の発生や生殖における重要な役割を明らかにすることにつながる。
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