• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実績報告書

生体の糖脂質代謝スイッチを誘導するオルニチン情報伝達経路の同定とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 22H02528
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

伯野 史彦  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (30282700)

研究分担者 高橋 伸一郎  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (00197146)
山中 大介  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (10553266)
米山 鷹介  東京医科歯科大学, 統合研究機構, 助教 (10748289)
片岡 直行  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (60346062)
増田 正人  東洋大学, 総合情報学部, 准教授 (60708543)
西 宏起  東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任研究員 (90845653)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードオルニチン / 代謝制御性アミノ酸シグナル
研究実績の概要

これまで低タンパク食または低アルギニン食を給餌したラットで脂肪肝形成が誘導されることを明らかにしてきた。さらに、低タンパク質食給餌ラットでは新規脂質合成が促進されることによって脂肪が蓄積するが、低アルギニン食を給餌したラットでは肝臓からのVLDLの分泌が抑制されることによって脂肪肝が形成されることを示した。昨年度は、VLDLの構成分子であるアポリポタンパク質の発現を誘導するアミノ酸としてオルニチンを同定することに成功した。さらに、オルニチンを低アルギニン食に添加すると低アルギニン食給餌によって誘導された脂肪肝形成が完全に抑制された。しかし、オルニチンを腹腔内に投与しても低アルギニン食で誘導される脂肪肝形成を抑制できないことから、腸内細菌叢や小腸細胞を介して、オルニチンがVLDL分泌を促進していると考えられた。そこで本年度は、まず、低アルギニン食または低アルギニン食にオルニチンを添加した食餌を給餌したラットの門脈血のメタボローム解析を行った。その結果、腸内細菌叢で合成される二次胆汁酸の量が低アルギニン食給餌で増加し、オルニチンの添加で抑制された。そのため、胆汁酸の吸着剤を添加して脂肪肝形成を調べたが、残念ながら胆汁酸の関与は認められなかった。また、抗生物質を多量に投与して腸内細菌叢を除去したのちに脂肪肝形成を観察したが、腸内細菌叢の関与も認められなかった。今後は一部の特徴的な胆汁酸が脂肪肝抑制に関与している可能性を考えて、研究を進めていきたい。次に腸管組織において、低アルギニン食給餌やオルニチンの添加によって発現が変化する分泌タンパク質の探索を行った。その結果、多くの分泌タンパク質の遺伝子発現が変化していることを明らかにした。今後はこれらのタンパク質の発現を制御することによって脂肪肝形成に関与していることを証明したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

オルニチンによって脂肪肝が抑制されるメカニズム解明のためにメタボローム解析を行って胆汁酸の関与を予想した。現在までのところ胆汁酸の関与は証明されていないが、新たに小腸の組織から分泌されるホルモンの発現がオルニチン摂取によって大きく変動することがわかってきた。このように様々な候補遺伝子やメタボライトの単理に成功しており、順調に進捗している。

今後の研究の推進方策

低アルギニン食給餌やオルニチンの添加によって小腸において発現量が変化する分泌タンパク質遺伝子の単離に成功している。今後はアデノ随伴ウイルスを用いて小腸における分泌タンパク質の発現を抑制して、脂肪肝形成への関与を証明していく。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] 1.Growth hormone resistance induced by amino acid deprivation in fao cells is independent of FGF21.2024

    • 著者名/発表者名
      Saito M., Nishi H., Takahashi SI., Hakuno F., Miyata I.
    • 雑誌名

      Biochem. Biophys Res. Commun.

      巻: 709 ページ: 149811

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2024.149811.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The IGF-Independent Role of IRS-2 in the Secretion of MMP-9 Enhances the Growth of Prostate Carcinoma Cell Line PC3.2024

    • 著者名/発表者名
      Furuta H, Sheng Y, Takahashi A, Nagano R, Kataoka N, Perks CM, Barker R, Hakuno F*, Takahashi SI.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 24 ページ: 15065

    • DOI

      10.3390/ijms242015065.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Moderate protein intake percentage in mice for maintaining metabolic health during approach to old age.2024

    • 著者名/発表者名
      Kondo Y, Aoki H, Masuda M, Nishi H, Noda Y, Hakuno F, Takahashi SI, Chiba T, Ishigami A.
    • 雑誌名

      Geroscience.

      巻: 45 ページ: 2707-2726

    • DOI

      10.1007/s11357-023-00797-3.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 血中アミノ酸プロファイルが臓器特異的な脂質代謝を制御する2024

    • 著者名/発表者名
      伯野史彦
    • 学会等名
      日本農芸化学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 食餌中のリジンの不足は、遅筋の増加を伴って骨格筋への脂質蓄積を誘導する2024

    • 著者名/発表者名
      合田祐貴、沖野良輔、岩井瑠里、前澤礼緒奈、山中大介、伊藤公一、小野悠介、高橋伸一郎、伯野史彦
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] 特定の血中アミノ酸を誘導できる食事組成を算出するAIモデルの開発;食による生理状態のコントロール手法開発に向けて〜2024

    • 著者名/発表者名
      山中大介、増田正人、西宏起、合田祐貴、沖野良輔、村上真、宮本崇史、伯野史彦、高橋伸一郎、伊藤公一
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] アルギニン欠乏に応じて脂肪肝を誘導する腸肝コミュニケーションの探索2024

    • 著者名/発表者名
      Nishi Hiroki, Nakanishi Sena, Shin-Ichiro Takahashi, and Fumihiko Hakuno
    • 学会等名
      日本分子生物学会
  • [学会発表] IGFシグナルダイナミクスが筋分化に果たす役割2024

    • 著者名/発表者名
      小栗舜平、沖野良輔、伯野史彦、高橋伸一郎
    • 学会等名
      骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] 低リジン食給餌による骨格筋の筋線維型の変化の解析2024

    • 著者名/発表者名
      前澤玲緒奈、合田祐貴、沖野良輔、岩井瑠里、西島壮、土田竜貴、西宏起、山中大介、伯野史彦、高橋伸一郎
    • 学会等名
      骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] 筋芽細胞におけるアミノ酸シグナルに応答したミトコンドリアの動態解析2024

    • 著者名/発表者名
      今尾遥、小林萌美、沖野良輔、伯野史彦
    • 学会等名
      骨格筋生物学研究会
  • [学会発表] Metabolic regulation by amino acid signaling2024

    • 著者名/発表者名
      Hakuno F
    • 学会等名
      Core-to-Core international symposium
    • 招待講演
  • [学会発表] 肝細胞においてアミノ酸欠乏に応答して産生されるFGF21がGH抵抗性誘導に果たす役割の解析2023

    • 著者名/発表者名
      齋藤真希、西宏起、宮田市郎、伯野史彦、高橋伸一郎
    • 学会等名
      日本内分泌学会
  • [備考] 動物細胞制御学研究室ホームページ

    • URL

      http://endo.ar.a.u-tokyo.ac.jp

  • [産業財産権] 血中アミノ酸プロファイルを改変する食の開発2023

    • 発明者名
      伯野史彦、山中大介、髙橋伸一郎、増田正人
    • 権利者名
      伯野史彦
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      23-0449-001US01
    • 外国

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi