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2022 年度 実績報告書

緑膿菌の多剤耐性化機構の解明に向けた薬剤排出タンパク質複合体の構造基盤

研究課題

研究課題/領域番号 22H02558
配分区分補助金
研究機関大阪大学

研究代表者

山下 栄樹  大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (00294132)

研究分担者 中川 敦史  大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (20188890)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード立体構造解析 / 膜蛋白質複合体 / トランスポーター
研究実績の概要

本研究課題では、緑膿菌が持つ複数種類の薬剤排出タンパク質複合体の詳細な作動原理を明らかにするために、種々の薬剤排出タンパク質や抗菌剤結合型の構造解析を行うとともに、様々な抗菌剤との相互作用様式を明らかにすることにより、緑膿菌の多剤耐性発現における各薬剤排出タンパク質複合体の役割を明確にすることを目指す。本年度は、1)種々の薬剤排出タンパク質複合体及び構成タンパク質の正確な構造解析、2)基質である抗菌剤との相互作用解析を目的とした。具体的には以下のことを行った。
1)種々の薬剤排出タンパク質複合体及び構成タンパク質の正確な構造解析
MexAB-OprM複合体以外で緑膿菌の多剤耐性化に関わっているMexCD-OprJ複合体及びMexXY-OprM複合体の各構成タンパク質うち、薬剤の認識及び排出エネルギー獲得に関わるトランスポーター(MexD、MexY)の活性型の構造解析に向けた試料調製の検討を行った。さらに、緑膿菌が持つRND型排出タンパク質の中で唯一ヘテロトランスポーターであるMuxBCの構造解析に向けた試料調製の検討を行った。
2)抗菌剤との相互作用解析
界面活性剤で精製されたトランスポーターMexBをアンフィポールで置換し相互解析用の試料を準備した。アンフィポール置換されたMexBと種々の抗菌剤との等温滴定型熱量測定法による熱力学的な解析を行った。抗菌剤との結合様式を可視化するために抗菌剤結合型の結晶構造解析に向けた結晶化について取り組んだ。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)種々の薬剤排出タンパク質複合体及び構成タンパク質の正確な構造解析
アミノグリコシド系抗菌剤の認識に関わるトランスポーターMexYの試料調製では、MexYの不安定なドメインをすでに構造解析されているMexBのドメインに置き換えたキメラ体を用いて精製を行ったが、活性型MexYが得られなかった。そこで、MexYの基質結合ドメインだけを残したキメラ体を新たに作製し、精製を行うことにより、活性型MexYが得られ、単粒子解析のための画像データの収集を行った。活性型MexDの精製条件では、緩衝液のpHが重要であることが分かった。
2)抗菌剤との相互作用解析
MexBの構造解析の論文で結合が確認されている抗菌剤1種類について、アンフィポール置換されたMexBを用いて等温滴定型熱量測定を行い、解離定数が得られた。抗菌剤結合型の結晶構造解析に向けた結晶については、結晶化に用いる精製試料の均質性を向上させることにより、分解能を改善することができた。

今後の研究の推進方策

種々の薬剤排出タンパク質や抗菌剤結合型の構造解析及び様々な抗菌剤との相互作用様式を明らかにするために、昨年度に引き続き、1)様々な構成タンパク質の正確な構造解析、2)抗菌剤との相互作用解析及び抗菌剤結合型の構造解析を進める予定である。
1)様々な構成タンパク質の正確な構造解析では、画像データ収集を行った活性型MexYの単粒子解析を進めつつ、MexD及びヘテロトランスポーターMuxBCの安定な活性型が得られる精製条件の検討を行う。
2)抗菌剤との相互作用解析及び抗菌剤結合型の構造解析では、種々の抗菌剤とMexBとの相互作用の熱力学パラメーターを求めるために等温滴定型熱量測定及び示差走査熱量測定を行いつつ、結合様式の可視化に向けた抗菌剤結合型の結晶構造解析を進める。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 緑膿菌由来膜融合タンパク質MexXの機能解明に向けた構造解析2022

    • 著者名/発表者名
      上田雄士、荒谷剛史、米原涼、 池田悦子、堤研太、中川敦史、山下栄樹
    • 学会等名
      日本結晶学会
  • [学会発表] Structural Studies of the Multidrug Efflux Pump, MexAB-OprM, from Pseudomonas aeruginosa2022

    • 著者名/発表者名
      Kenta Tsutsumi, Ryo Yonehara, Etsuko Ishizaka-Ikeda, Naoyuki Miyazaki, Shintaro Maeda, Kenji Iwasaki, Atsushi Nakagawa, Eiki Yamashita
    • 学会等名
      ICKSMCB2022 (2022 International Conference: Korean Society for Molecular nad Cellular Biology)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Structural biology using synchrotron radiation and cryo-electron microscopy2022

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Nakagawa
    • 学会等名
      2nd International Conference cum Workshop on Recent Trends in “Structural Bioinformatics and Computer Aided Drug Design” (ICSBCADD’2022)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 薬剤排出蛋白質複合体の構造生命科学研究

    • URL

      http://www.protein.osaka-u.ac.jp/rcsfp/supracryst/research/theme/yakuzai-haisyutu/

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公開日: 2024-12-25  

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