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2023 年度 実績報告書

大腸菌BepAによる外膜タンパク質トリアージ機構とその制御

研究課題

研究課題/領域番号 22H02571
配分区分補助金
研究機関京都大学

研究代表者

秋山 芳展  京都大学, 医生物学研究所, 教授 (10192460)

研究分担者 森 博幸  京都大学, 医生物学研究所, 准教授 (10243271)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワード外膜タンパク質 / 表層プロテアーゼ / トリアージ / 分子シャペロン / 大腸菌
研究実績の概要

外膜タンパク質LptDは、外膜機能に必須のリポ多糖の生合成に働く。 申請者らは、大腸菌BepAタンパク質が2つの機能を持ち、外膜の BAM複合体(外膜タンパク質トランスロコン)上で正常なLptD分子は外膜へのアセンブリーを促進し(Chaperone様機能)、異常分子は分解除去する(Protease機能)、 即ちトリアージすることで、外膜の構造と機能維持に働く事を示したが、その分子機構の詳細や生理機能の全容は不明である。申請者らが2019年に解明したBepA の結晶構造では、protease 活性部位がα6 loop とα9 loop と名付けた二つのループ領域に覆われて分子内に深く埋没した構造をとっている。基質が活性部位に アクセスするためには、これらが大きく構造変化し、活性部位領域が露出するものと予想された。α6 loop とα9 loopは一部が密接に相互作用しており、この相互作用がこれら領域の可動性に関わる可能性が考えられた。これらを踏まえて変異解析を行った結果、α6 loop とα9 loopの相互作用部位に存在する残基の変異によりBepA機能制御が異常となり、正常にアセンブリーをしているLptD分子もBepA依存的に分解されることがわかった。さらに、α6 loop とα9 loop それぞれの近傍に存在する高度に保存されたArg-252 残基と Glu-201 残基の変異により、同様にBepA機能制御が異常となることも見出した。様々な変異解析の結果から、これら2つの残基は塩橋を形成することで、α6 loop とα9 loopを適切内地に保持することも示唆された。
また、α6 loop の直下に導入したCys残基の修飾性を指標として、結晶構造とは異なりin vivoではα6 loop が主として開いた構造を取ることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

理由
システマティックな変異解析と生化学解析により、BepA機能制御にα6 loop とα9 loop相互作用の重要性を示し、また、細胞内におけるα6 loopの動態についての手掛かりを得た。

今後の研究の推進方策

予定通り、さらなる変異解析や再構成系を用いた解析等を通じてBepAの機能制御機構を明らかにする。また、作製した変異体の構造解析や生化学的アプローチに よるBepA構造変化の実態解明も進める。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] S2P intramembrane protease RseP degrades small membrane proteins and suppresses the cytotoxicity of intrinsic toxin HokB2023

    • 著者名/発表者名
      Yokoyama T.、Yamagata Y.、Honna S.、Mizuno S.、Katagiri S.、Oi R.、Nogi T.、Hizukuri Y.、and Akiyama Y.
    • 雑誌名

      mBio

      巻: 14 ページ: e0108623

    • DOI

      10.1128/mbio.01086-23

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Analyzing protein intermediate interactions in living E. coli cells using site-specific photo-crosslinking combined with chemical crosslinking.2023

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki, R., and Akiyama, Y.
    • 雑誌名

      STAR Protocols

      巻: 4 ページ: 102178

    • DOI

      10.1016/j.xpro.2023.102178

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 膜内切断プロテアーゼRsePの結晶構造及び基質の進入と切断を制御する新規ゲーティング機構モデル2023

    • 著者名/発表者名
      檜作洋平,今泉友希,髙貫一徳,三宅拓也,小林達也,横山達彦,大井里香,禾晃和,秋山芳展
    • 学会等名
      第61回 日本生物物理学会年会
  • [学会発表] グラム陰性細菌において、鉄シグナル伝達を担う一回膜貫通タンパク質FecRの膜挿入・連続的切断機構の解析2023

    • 著者名/発表者名
      横山達彦、塚崎智也、秋山芳展
    • 学会等名
      第96回 日本生化学会大会
  • [備考] 医生物学研究所生体膜システム分野ホームページ

    • URL

      https://infront-biomembrane.jp/

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公開日: 2024-12-25  

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