研究課題
ダイニンは、真核生物の鞭毛において振動運動を生み出すマイナス末端指向性モーターである。細胞膜の最も重要な特徴である周期的な拍動は、ダイニンが微小管に沿って時空間的に制御することによって起こる。ダイニンは微小管に沿って時空間スライディングすることによって起こる。鞭毛振動におけるダイニンの振動の役割を明らかにするために、我々は3つの異なる軸索切断段階におけるダイニンの生化学的性質を調べた。無傷の9 + 2構造から出発して、相互作用するダブレットの数を減らし、各段階で発生する振動力の3つのパラメータ、すなわち結合割合、反応時間、ステップサイズを決定した。軸索、ダブレットバンドル、単一ダブレットの無傷のダイニン分子を用いて、光ピンセットで力を測定した。3つの軸糸の条件下で測定されたダイニン1個あたりの平均力は、以前に報告された軸糸ダイニンの停止力よりも小さかった。この現象は、結合割合が以前考えられていたよりも低いことを示唆している。この可能性は、精製ダイニンを用いたin vitro運動性アッセイによってさらに確かめられた。測定された力から推定された反応時間とステップサイズは同様であった。これらのパラメーターの類似性から、ダイニンの振動の本質的な性質は、分子に固有のものであり、軸糸の構造とは無関係であることが示唆される。また、キネシンの幅広い荷重下での力の発生を理解するために、光学ピンセットを用いて20~42pNの荷重下でのキネシン分子のステップ運動を測定した。その結果、前進と後退のステップサイズはステップサイズは8.2 nmであった。ヒストグラム後方ステップと解離の反応時間のヒストグラムは、速い時定数(0.4 ms)と遅い時定数(>3 ms)を持つ2つの独立した指数関数式に従った。
2: おおむね順調に進展している
22年度の予定では、精子鞭毛ダイニン多分子の振動時の力・変位・弾性率・急速変位応答(反応速度や粘弾性率がわかる)を測定するために、レーザー トラップされたビーズ微粒子の像の位置を4分割センサーで測定することであった。この予定は達成され、精子鞭毛ダイニン多分子の振動時の特性と分子機構を示唆する原著論文を出版することができた。この論文の出版と並行して、振動がどのように起こるかをコンピューターシミュレーションを行い、振動の要素が集まりつつある。また細胞内振動に重要なキネシン1分子の新しい特性が明らかとなり、振動の理解に向けておおむね順調に研究が進んでいる。
精子鞭毛ダイニン多分子の振動のシミュレーション研究は順調に進んでいるため,今後論文化に向けた追加シミュレーションを行う.さらにシミュレーションにおいて重要なパラメーターを実験的測定により得る予定である。さらに、細胞内のプロッセッシブモーターであっても振動が起こることをシミュレーションと実験の両面から研究を行う予定である。
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