研究実績の概要 |
BAF複合体は,ATP依存的にクロマチン構造を変化させるSWI/SNFクロマチンリモデリング複合体の一種として知られているが,その機能は不明な点が多く残っている。申請者のこれまでの研究で,BAF複合体の遺伝子破壊変異により,活性型クロマチンドメインから抑制型への構造変化を見出している(Takebayashi et al., 2013)。しかしながら,これまでBAF複合体がどのように活性型クロマチンドメインの形成・維持に関わっているのかは不明であった。BAF複合体はクロマチン結合因子であることから,ゲノム上の標的配列との相互作用を介して活性型ドメインの形成・維持に関わっているという仮説を立て,検証を試みた。まず,BAF複合体のサブユニットの1つであるBrg1のChIP-seqデータから,ES細胞におけるBAF複合体のゲノム結合領域を明らかにした。すでに取得済みのクロマチンドメイン構造変化のデータ(複製タイミングドメイン解析による結果)と比較することにより,BAF複合体依存的に形成される活性型ドメインにおいて複合体の結合が見られるゲノム領域を同定した。CRISPR-Cas9ゲノム編集技術を用いた結合配列の欠失変異体を複数作製し,クロマチンドメイン形成における役割を検証を開始した。
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