研究課題/領域番号 |
22H02615
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
神吉 智丈 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50398088)
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研究分担者 |
井上 敬一 新潟大学, 医学部, 医学部准教授 (30396981)
山下 俊一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30529095)
福田 智行 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90415282)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / オートファジー / マイトファジー |
研究実績の概要 |
ミトコンドリアは、細胞活動に必要なATPの大半を産生する重要なオルガネラであり、その機能や量は適切に維持される必要がある。オートファジーによるミトコンドリア分解(以下マイトファジー)は、異常もしくは不要となったミトコンドリアを選択的に分解することでミトコンドリアの機能維持に貢献していると考えられている。マイトファジーは真核生物間で広く保存された現象にも関わらず、その分子機構や生理的意義は十分に解明されていない。マイトファジーの分子機構には、レセプターに依存するものとユビキチン化に依存するものがあるが、本研究では特にレセプター依存的経路によるマイトファジーに注目し、その分子機構と生理機能の解明を目指す。 これまでの研究で、マイトファジー時に必要な新規因子としてAtg44を同定していた。当該年度は、その機能解析を中心に研究を進めた。Atg44はミトコンドリア膜間スペースに局在するタンパク質であり、マイトファジーに必須であるが、ペキソファジーやER-ファジー、マクロオートファジーとの関係は認められなかった。atg44破壊株は、ミトコンドリア分裂因子dnm1破壊株と同様にミトコンドリアが膨潤する形態に異常を認めたため、Atg44もミトコンドリア分裂因子であると考えられた。さらに、atg44破壊株をマイトファジー誘導条件で培養すると、ミトコンドリアから液胞表面に向かって突起が出現することを見出した。このミトコンドリア突起の形成は、Atg32、Atg11、Atg1、Atg8などのマイトファジーやオートファジー関連遺伝子依存的であること、突起上にAtg32、Atg11、Atg8が集積することから、この突起形成はマイトファジー依存的であると考えられた。こうしたことから、Atg44はマイトファジー時に機能するミトコンドリア分裂因子であると結論付けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画である、哺乳類におけるマイトファジーレセプターの研究も順調に進んでいることに加えて、Atg44の機能解析が終わり、論文として報告する目処が立ったため、本研究は順調に推移していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
○哺乳類培養細胞やマウスを用いてマイトファジーレセプターの研究を進めていく。具体的には、哺乳類培養細胞を用いて、マイトファジーレセプター候補のリン酸化修飾に着目し、マイトファジー誘導時にリン酸化される残基の同定やそのレセプターとしての機能の解明を目指す。既知の報告から、マイトファジーレセプターの幾つかのリン酸化修飾は、マイトファジー誘導制御に大きく係わっていることが知られており、こうしたリン酸化部位を中心に、解析を進めて行く。 ○マウスを用いた実験では、樹立したマイトファジー可視化マウスを用いる。既に確立している手技を用いて後肢の骨格筋廃用性萎縮を誘発するとマイトファジーが強く誘導される事がわかっている。このマイトファジー誘導の生理的意義や誘導制御機構を解明する。 ○出芽酵母のマイトファジーレセプターは、Far複合体を結合することでリン酸化が抑制されており、Far複合体が解離するとAtg32がリン酸化され、マイトファジーが誘導される事が明らかになっている。しかし、Far複合体とAtg32の結合・解離の制御機構は明らかにされていない。Far複合体の修飾を中心に、この結合を制御するメカニズムを解明する。
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