研究課題/領域番号 |
22H02627
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田村 宏治 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (70261550)
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研究分担者 |
樫尾 宗志朗 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (40823307)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 器官再生 / 脊椎動物 / ヒレ内骨格 |
研究実績の概要 |
ゼブラフィッシュの胸ビレ内骨格部分は、幼生期(仔魚)であれば再生し、成長が進むと再生能力が低下し稚魚や成魚では再生しない。本研究では、ヒレ内骨格を再生させる組織内の内的要因を抽出し、再生能低下をもたらす組織外の外的要因を明らかにするために2つの研究課題項目を設定した。項目1では、ヒレ組織内における内骨格再生を駆動するメカニズムとヒレ組織内の再生不可原因を明らかにする。項目2では、再生能力低下をもたらすヒレ組織外の要因を明らかにする。とくに項目2では「局所再生に対して全身性制御が作用する」という、独自の切り口を導入する。本研究では、内骨格再生をモデル系として「器官再生ができる・できないという差の実体は何か」という発生学の学術的な命題を明らかにし、再生できる条件を引き出すことで内骨格を再生できないヒトなどのほ乳類への応用基盤を構築する。 当該年度は、項目1について既に実施済みのヒレ再生前後のトランスクリプトーム解析で得られた候補遺伝子の機能解析をCRISPR/cas9法による機能欠損個体の胸ビレ切除実験によって行ったが、明確な差異のある表現型は得られなかった。そのため候補絞り込みのためのATAC-seq解析に着手し、必要なサンプルの準備が完了した。またインヒビター分子の処理による機能阻害実験を行うなど複数の方法で候補因子の機能解析をさらに進めている。また、筋組織欠損個体の作製と解析については、内骨格再生可能期と不可能期のそれぞれの時期について胸ビレの筋再生能力を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CRISPR/cas9法による機能解析では予想した表現型が得られなかったため、他の複数の方法を用いて機能解析を進め、順調にデータを得られている。また、筋組織欠損個体の作製と解析の下準備として予定していた内骨格再生可能期と不可能期の筋再生能力についての結果も得られるなど、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでのところ研究は順調に進展しており、大きな問題も発生していない。得られた研究成果についての取りまとめを早急に行いたいと考えている。
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