研究課題
我々は緑藻クラミドモナスの光走性の正負が細胞質の活性酸素種(ROS)量に応じて調節されることを明らかにした。これを可能にする分子機構は何か?そして、この制御機構には光合成生物にとってどのような生理的意義があるのか?これらの未解明問題を解決することが本研究の目的である。令和4年度は以下の2つを柱にした研究を行った。①負の走光性しか示せない変異株の原因遺伝子の解析を行った。その結果、これがある種のキナーゼであることがわかった。抗体を作成して局在などを調べたが、発現量が少ないのか、明らかにすることができなかった。引き続き、リン酸化反応の標的同定実験に入った。②ROSセンサーの導入実験を行った。市販のH2O2センサーを導入したが、高発現株が得られなかった。そこで、先行研究で開発されたクラミドモナス用のH2O2センサーを導入することとして、いくつかの細胞内コンパートメントに局在させるための発現ベクターを入手し、導入実験を開始した。これらの研究を行う途中で藻類培養インキュベーターが故障したため、繰越を余儀なくされた。令和5年度は修理されたインキュベーターを用いて上記実験を継続して行うとともに、計画のもう1つの柱である③ストレスのある環境下での光走性が生残性への寄与の検証に着手した。
2: おおむね順調に進展している
インキュベーター故障による遅れはあったものの、初年度に予定していた実験は、予想していた困難も含めて、おおむね計画通りに進行した。
キナーゼのターゲット絞り込み、ROSセンサーの導入、光走性の意義検証実験をそれぞれ並行して行う。
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