研究課題/領域番号 |
22H02649
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
出村 拓 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40272009)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 細胞分化 / 通水細胞 / 木質細胞 / 遺伝子発現制御 / シングルセルトランスクリプトーム |
研究実績の概要 |
①オオミズゴケの透明細胞と葉緑細胞:オオミズゴケの未成熟葉におけるエレクトロポレーションとジェミニウィルスベクターを用いた一過的遺伝子発現系の確立に向けて、遺伝子導入法を検討した。 ②ヒメツリガネゴケのハイドロイドとステライド:葉の中肋において隣り合って配置されるハイドロイドとステライドの分化決定機構を明らかにするために、未成熟な中肋細胞を用いたシングルセルトランスクリプトーム解析によるハイドロイドとステライドの分化経路に沿った転写ネットワークの解析を進めた。まずは、ハイドロイドとステライドに特異的に発現するVNS転写因子のプロモーターを利用した細胞標識を目的とした形質転換ヒメツリガネゴケの作出を進めた。 ③ポプラ木部の道管細胞と繊維細胞:木本被子植物(広葉樹)の茎(幹)において、形成層細胞から分化する2種類の木部細胞(道管細胞と繊維細胞)の分化決定のしくみは明らかにするために、ポプラ茎の樹皮を剥いで露出した形成層細胞と未成熟木部細胞を用いたシングルセルトランスクリプトーム解析を計画した。しかしながら、研究開始直後に他グループから本計画と重複した研究成果が発表されたことから、本項目は研究を中断し、他項目の成果を待って、詳細なデータの比較解析を行う計画に変更することにした。 ④シロイヌナズナの原生木部道管と後生木部道管:シロイヌナズナ根の未成熟な原生木部細胞と後生木部細胞を含む維管束細胞(前形成層細胞)を材料とした精密なシングルセルトランスクリプトーム解析に向けて、後生木部細胞の細胞分化誘導系の作出を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
4つの研究項目の内、1つについては研究を中断することにしたが、他の項目では順調に解析の準備が進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
①オオミズゴケの透明細胞と葉緑細胞:オオミズゴケの未成熟葉におけるエレクトロポレーションとジェミニウィルスベクターを用いた一過的遺伝子発現系の開発を継続する。さらに、すでに単離しているオオミズゴケVNS遺伝子の機能解析として、プロモーターGUS解析とオオミズゴケVNS遺伝子の過剰発現/発現抑制/機能抑制の解析を継続する。 ②ヒメツリガネゴケのハイドロイドとステライド:葉の中肋において隣り合って配置されるハイドロイドとステライドの分化決定機構を明らかにするために、未成熟な中肋細胞を用いたトランスクリプトーム解析を行う。未成熟な中肋細胞に特異的に発現するVNS遺伝子のプロモーター配列を取得し、核局在の蛍光レポーター遺伝子と連結し、未成熟中肋細胞の核を蛍光ラベルする。これらのラベルした細胞核を回収してシングル核トランスクリプトーム解析を行う。 ③シロイヌナズナの原生木部道管と後生木部道管:シロイヌナズナを用いて原生木部細胞と後生木部細胞の分化を制御するVND7遺伝子とVND6遺伝子の直下の下流遺伝子を同定する。これにより、原生木部道管と後生木部道管の分化がVND7とVND6それぞれによってどのように制御されているかを検討する。
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