de-novo遺伝子とは、今まで存在していた遺伝子と全く保存性がない、新たに出現する遺伝子である。de-novo遺伝子の多くは、小さいタンパク質(< 100aa)をコードする短い遺伝子であるため、生物の構成要素として、大きく貢献しているとは考えられていなかった。しかし、近年のゲノム解析の結果、種特異的なde-novo遺伝子が期待以上に同定され、生物の多様性に大きく貢献している可能性が提唱されている。それにも関わらず、生理活性を変化させる(機能的な)de-novo遺伝子を探索する研究はほとんどない。本研究では、シロイヌナズナには明確な機能を有すものの、近縁種には遺伝子構造が壊れているため同じ機能を持ちえない種特異的な35個のde-novo遺伝子の内、過剰発現で、傷害シグナル経路が強化され乾燥耐性を示すsORF39と、開花の遅延シグナルを強化するsORF791に着目した。この二つの遺伝子は、発現抑制させると、過剰発現で見出された表現形質を野生型よりも抑制していることを明らかにした。そこで、sORF39とsORF791と相互作用するタンパク質を同定するために、GFP融合した各遺伝子を過剰に発現させた形質転換体から、抗GFP抗体を用いて、GFP融合タンパク質に相互作用するタンパク質群を免疫沈降させる。その後、免疫沈降したタンパク質をプロテオーム解析で同定した。その結果、sORF39は、結合するメンバーが予想できた。一方で、sORF791はミトコンドリアに局在するにも関わらず、ミトコンドリアに局在するタンパク質の候補を得ることができなかった。そのため、sORF39は、今後とも相互作用するタンパク質のメンバーの同定に入るが、sORF791は過剰発現体と発現抑制体の形質転換体のトランスクリプトーム解析を実施し、開花抑制のシグナルを制御していることを明らかにした。これらをまとめた論文を執筆した。
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