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2022 年度 実績報告書

サンゴ共生藻が環境中に糖を放出する生態進化学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 22H02697
配分区分補助金
研究機関東京大学

研究代表者

丸山 真一朗  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (50712296)

研究分担者 高橋 俊一  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 教授 (80620153)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード細胞内共生 / サンゴ / 褐虫藻 / 環境応答 / 細胞壁
研究実績の概要

サンゴ共生藻である褐虫藻は、宿主刺胞動物へ光合成産物である糖を受け渡すことで、貧栄養海域のサンゴ礁生態系を支えている。糖は膜輸送体を介して受け渡されると考えられているが、特定には至っていない。これまでに申請者らは、共生状態の酸性環境を模した培養系を用いて、褐虫藻が環境シグナルに応答して細胞壁の改変が起こり、糖が細胞外に分泌されることを発見した。これは従来の考えと全く異なる糖分泌系の存在を示唆するが、それがどのように進化し、共生に利用されてきたのかは不明であった。本研究では、網羅的遺伝子発現解析や細胞生理学的解析をもとにした糖分泌に関わる候補遺伝子の探索などを行った結果、細胞壁成分の分解に関わるセルラーゼの一種が糖分泌に関わり、細胞壁が糖の供給源となるという仮説を支持する結果が得られた。従来の仮説では、褐虫藻から宿主へ糖が供給される過程は、光合成により二酸化炭素を固定して作られた光合成産物が短時間で輸送される経路が唯一のものとして想定されていたが、実際には複数の経路によって炭素の移動が起きている可能性が考えられる。これらの知見は、サンゴ礁を支える共生生態系の成り立ちを分子・細胞レベルで理解する重要な手がかりとなることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子から細胞レベルでの解析の結果、褐虫藻の分解する細胞壁成分が分泌糖のソースであり、これまでに未知の糖分泌の経路として働くことを示唆する結果を積み重ね、統計学的にも十分なデータを得ることができた。多角的な解析から、光合成に直接由来しない糖の分泌経路の実態に迫ることができていると考えらえる。

今後の研究の推進方策

糖分泌と酵素活性との関わりなど、より詳細な分子レベルの解析を進めることが重要であると考えられる。従来の仮説と異なる新規の炭素の移動経路を提案することができれば、他の共生研究にも関わる重要な知見となる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 糖代謝から見たサンゴと藻類の共生寄生スペクトラム2022

    • 著者名/発表者名
      丸山真一朗
    • 学会等名
      第81回日本寄生虫学会東日本支部大会・日本共生生物学会第6回大会 合同大会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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