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2023 年度 実績報告書

脳老化を抑制する転写抑制因子RP58とそのメカニズムの解析

研究課題

研究課題/領域番号 22H02729
配分区分補助金
研究機関公益財団法人東京都医学総合研究所

研究代表者

岡戸 晴生  公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 研究員 (60221842)

研究分担者 平井 志伸  公益財団法人東京都医学総合研究所, 精神行動医学研究分野, 主席研究員 (00625189)
田中 智子  公益財団法人東京都医学総合研究所, 基礎医科学研究分野, 研究員 (40578986)
新保 裕子  地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 臨床研究所, 研究員 (50724663)
三輪 秀樹  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所 精神薬理研究部, 室長 (80468488)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
キーワードRP58 / 老化 / MAP2 / ミクログリア
研究実績の概要

RP58ヘテロ欠損マウスでは野生型と比較して、加齢早期に認知機能が減弱することを見出し、さらに、組織学的解析により、加齢早期に、DNA断片化、ミクログリアの活性化等、脳老化表現型がみられた。以上の実験は、RP58減少が脳機能の低下を惹起する、すなわち、加齢性脳障害の原因の一つであることを示唆する。そこでRP58の発現量が、脳の老化を制御しているという仮説を立て、TetO配列をRP58遺伝子の上流に組み込んだマウス作製し、Actin-tTS発現マウスと交配し、全身でRP58の発現量をDox餌の有無により自在に減少させる系を作製した。成体早期からRP58の発現を人為的に低下させたマウスでは、認知機能の障害、海馬歯状回の苔状細胞におけるMAP2発現の低下、海馬歯状回におけるミクログリアの突起の減少が成体後期に観察された。MAP2発現は老化で減少することが知られている。また、ヒトでは加齢に伴って、ミクログリア細胞突起の長さが減少し、枝分かれが少なくなることが知られている。つまり、人為的にRP58の発現を減少させたモデルマウスの表現型は、加齢と類似している。従って、RP58は発達とは無関係に成人期の脳機能維持に重要な因子であり、加齢に伴うRP58の発現低下が、加齢に伴う認知機能低下の原因である可能性が示唆された。
以上のことは、「RP58の発現減少が老化に伴う認知機能の低下、海馬の老化を惹起する」という我々の仮説を支持している。また、RP58のターゲット候補であるドーパミン受容体D5のヘテロマウスとRP58ヘテロマウスを交配したところ、D5が半減していると、RP58が半減していても、認知機能低下が成体早期に惹起されないことが明らかとなった。このことは、「RP58の減少がD5の増加をもたらし、認知機能を低下させた」という仮説も支持する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

RP58の成体期における発現抑制マウスが順調に作製され、解析した結果、仮説に合致した結果が得られているため。

今後の研究の推進方策

RP58発現減少により、発現が変化する遺伝子の同定を試みる。具体的には、GFP発現AAVを片側海馬に注入することにより、反対側海馬の苔状細胞に特異的にGFPを発現させ、GFPが導入された苔状細胞をFACSにより分取し、RNA-seqにより転写産物を解析し、RP58のターゲット遺伝子の候補を同定する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 成熟後のRP58/ZBTB18の発現制御は認知機能と歯状回の苔状細胞の健全性を規定する2024

    • 著者名/発表者名
      新保裕子、平井志伸 、田中謙二 、岡戸晴生
    • 学会等名
      第101回日本生理学会大会

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公開日: 2024-12-25  

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