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2022 年度 実績報告書

小脳顆粒細胞をモデルとした神経前駆細胞の増殖・分化の制御機構の研究

研究課題

研究課題/領域番号 22H02730
配分区分補助金
研究機関国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター

研究代表者

星野 幹雄  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所 病態生化学研究部, 部長 (70301273)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード神経細胞 / 小脳 / 転写因子 / MEIS1 / ユビキチン
研究実績の概要

本研究の目的は、マウス小脳の顆粒細胞(Granule Cells, GCs)をモデル神経細胞として「神経前駆細胞が適切なタイミングで適切な数の神経細胞を生み出す仕組み」を明らかにすることである。先行研究で、増殖性の顆粒細胞前駆細胞(GC Progenitors, GCPs)には「未分化なAT+GCPs」と「少し分化したND+GCPs」の二種類があることを見出した。本年度は、ATOH1タンパク質の分解制御という観点から、このAT-NDトランジションのスピードの制御機構について解析した。まず、ATOH1タンパク質の結合分子を小脳エクストラクトからプロテオミクス解析で探索したところ、E3ユビキチンライゲースのCUL3とその関連分子(UBA1, UBE2m,n,t)を同定した。また、培養細胞内で発現させたATOH1のユビキチン化がCUL3のノックダウンで抑制され、ATOH1のタンパク質分解も抑制されたことから、我々はATOH1のユビキチン化と分解にはCUL3(を含むユビキチンリガーゼ複合体)が関与することを明らかにした。過去に我々は、ホメオドメインを持つ転写因子MEIS1(MEIS1-FL アイソフォーム)が顆粒細胞の発生に広く関わることを示した(J. Neurosci 2018)。しかし我々のその後の予備的研究から、AT+GCPsで強く発現するホメオドメインを持たないMEIS1アイソフォーム(MEIS1-HdL)が、AOTH1のユビキチン化と分解を阻害し、AT-ND トランジションを抑える(小脳へのKD導入実験)ということが明らかとなった。さらに我々は、ATOH1とCUL3の結合が、MEIS1-HdLによって抑制されることを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

AT-NDトランジションのスピードの制御機構として、E3リガーゼであるCUL3による、重要因子ATOH1の分解調節システムが存在することを明らかにすることができた。これは大きな進展である。さらに、その背後にある分子機構として、ホメオドメインを持たないMEIS1アイソフォーム(MEIS1-HdL)が、CUL3の機能を阻害することによってATOH1の分解を抑制し、その結果としてAT-NDトランジションが早く進みすぎないように調節していることも明らかにすることができた。このように、ここまでは大変順調に研究が進んでいる。

今後の研究の推進方策

次年度はさらに、どのようにしてMEIS1-HdLがCUL3によるATOH1のユビキチン化と分解を抑制するのかについて、明らかにする予定である。具体的には、CUL3やMEIS1-HdLと結合するタンパク質を、プロテオミクス法を用いて網羅的に抽出し、それらの中からその分子機構に関わっていそうな候補分子を選択する。その上で、その分子(遺伝子)について強制発現、ノックダウンを行うことによって、実際の機能を検証する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Unique Lewy pathology in myotonic dystrophy type 1.2022

    • 著者名/発表者名
      Sano T, Kawazoe T, Shioya A, Mori-Yoshimura M, Oya Y, Maruo K, Nishino I, Hoshino M, Murayama S, Saito Y
    • 雑誌名

      Neuropathology

      巻: 42 ページ: 104-116

    • DOI

      10.1111/neup.12790

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Mice Lacking Cerebellar Cortex and Related Structures Show a Decrease in Slow-Wave Activity With Normal Non-REM Sleep Amount and Sleep Homeostasis.2022

    • 著者名/発表者名
      Fujiyama T, Takenaka H, Asano F, Miyanishi K, Hotta-Hirashima N, Ishikawa Y, Kanno S, Seoane-Collazo P, Miwa H, Hoshino M, Yanagisawa M, Funato H.
    • 雑誌名

      Front Behav Neurosci

      巻: 16 ページ: 910461

    • DOI

      10.3389/fnbeh.2022.910461

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Research on brain development and disorders by utilizing mutant animals.2022

    • 著者名/発表者名
      Hoshino M
    • 学会等名
      NEURO2022
    • 招待講演
  • [備考] 国立精神神経医療研究センター病態生化学研究部

    • URL

      https://byosei-neuroscience-institute.ncnp.go.jp/

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公開日: 2024-12-25  

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