研究課題/領域番号 |
22H02736
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
宮崎 勝彦 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, グループリーダー (10426570)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | セロトニン / カルシウムイメージング / 光遺伝学 / 前頭眼窩野 / 内側前頭前野 |
研究実績の概要 |
本研究は、セロトニンがどのように前頭眼窩野と内側前頭前野に働きかけることで両領域の機能差を生み出しているか、その神経機構を明らかにすることを目的に計画された。両領域とセロトニンの関与が示唆される複数の課題を同一マウスに学習させ、両領域の神経活動を計測しながら、セロトニンの光操作および細胞外濃度計測を行う。変化する環境の中で柔軟に適応するために両領域はどのようなダイナミクスでセロトニン神経系の制御を受けるか?その神経機構を解明する本研究は、セロトニンが私達の心と行動にどのように関わるのかを知る上で重要な手掛かりとなる。 令和4年度は、マウスの前頭眼窩野にAAV-hsyn-GCaMP7fを注入し、小型蛍光顕微鏡カメラを用いて遅延報酬課題遂行中の神経活動計測に成功した。その結果、約20%の神経細胞が餌報酬が出るまでの遅延時間中に応答することが明らかになった。背側縫線核のセロトニン神経細胞は、我々のこれまでの研究から遅延報酬を待っている期間に活動を強めることが明らかになっているが、遅延期間中に応答する前頭眼窩野の神経活動はセロトニンの影響を受ける可能性が高いことが示唆された。 また、Tph2-tTAとTetO-GCaMP6sを持つダブルトランスジェニックマウス(Tph2-GCaMPマウス)を用いて、遅延報酬課題遂行中マウスから背側縫線核セロトニン神経活動のファイバーフォトメトリー計測を行った。その結果、報酬待機中の神経活動は将来報酬の確率に依存することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2匹のマウスの前頭眼窩野にAAV-hsyn-GCaMP7fを注入し、小型蛍光顕微鏡カメラを用いて遅延報酬課題遂行中の神経活動計測する方法を確立したから。この方法を用いて内側前頭野からの計測も可能である。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、マウスの前頭眼窩野にAAV-hsyn-GCaMP7fを注入し、小型蛍光顕微鏡カメラを用いて遅延報酬課題遂行中の神経活動計測に成功した。その結果、約20%の神経細胞が餌報酬が出るまでの遅延時間中に応答することを見出した。 令和5年度では、前頭眼窩野の神経活動計測と同様の方法で内側前頭前野のカルシウムイメージングを行う。さらに、セロトニン神経細胞に選択的に赤色光で活性化される興奮性オプシンChrimsonRまたは赤色光で活性化される抑制性オプシンJawsを発現させ、前頭眼窩野または内側前頭前野からのカルシウムイメージング中に、赤色光でセロトニン神経終末を光操作して、遅延報酬課題に応答する個々の神経細胞がどのようにセロトニンによる影響を受けるかを調べる。
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