研究課題
天然物は人智を超えた活性・構造を有する重要な創薬シード分子である。中分子天然物を創薬リードへと昇華させるためには、包括的な天然物誘導体から構成されるライブラリーの構築は極めて大きな意義を持つ。申請者はこれまで、迅速かつ網羅的な中分子天然物ライブラリーの合成を可能とする「ビルドアップライブラリー構築」とその直接生物活性評価スキームを開発してきた。本申請研究では、本法を更に創薬リード創出に資する強力な中分子天然物創薬プラットホームとすべく、さらに①標的とする天然物とアクセサリーの拡充と、②様々な生物学的等価体に変換と構造最適化を行う事で、創薬リード創出を図る。令和4年度は、コリスチン、リファンピシン、ツニカマイシン、ムレイドマイシン等のビル負度アップライブラリーを作製した。更にその直接の生物活性評価を迅速に行う事により、コリスチン、ツニカマイシン、ムレイドマイシンの3つについては、もとの天然物の生物活性を凌駕する誘導体を同定する事が出来た。また、ムライマイシンについては、連結部であるヒドラゾン構造を、化学的・生物学的により安定な結合に変換した誘導体も合成し、in vitroでの生物活性の向上と、in vivoで薬理活性を発現する誘導体の同定に至っている。コリスチンに関する論文は、既にJ. Am. Chem. Soc.にて公表されている。ムライマイシンに関する研究については、論文投稿中である。
2: おおむね順調に進展している
複数の天然物のビルドアップライブラリーを合成し、それぞれ順調に生物活性の向上を図れているため。また成果公表についても、コリスチンに関する論文は、既にJ. Am. Chem. Soc.にて公表されている。ムライマイシンに関する研究については、論文投稿中である。
本法を更に創薬リード創出に資する強力な中分子天然物創薬プラットホームとすべく研究を推進する。まず①標的とする天然物の拡充と、付随するアクセサリーの高機能化を行う事で、ビルドアップライブラリーの質・量ともに大幅な拡充をはかり、本法の基盤強化を行う。これまでは、ヒット化合物の同定に終始していた。これらのヒット化合物を真の創薬リードへ昇華すべく、本申請では更に②ヒドラゾン結合を様々な生物学的等価体に変換し、更に構造最適化を行う事で、代謝安定性に優れ、in vivoでも薬理活性を十分に示すリードを創出する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 3件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
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