研究課題/領域番号 |
22H02744
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
新藤 充 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (40226345)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | トリプチセン / イノラート / イプチセン / 機能性分子 / 大環状分子 |
研究実績の概要 |
キラル置換トリプチセンの合成:イノラートのトリプル環化反応を利用してトリプチセンの片面に密集して1,8,9,13位の置換基を持たせた。その1,8位にトリアルキルシリル基、13位にブロモ基、9位にヒドロキシ基を持つトリプチセンにパラジウム触媒で処理したところ分子内檜山カップリングが進行し、メチル基が13位にシフトしたキラルトリプチセンが生成した。さらに8位のTMS基をブロモ基に変換したのち、同様の反応に付すとシリル基上のメチル基が分子内移動し檜山カップリングが進行した。これを玉尾酸化反応に付すことでキラルジヒドロキシトリプチセンに変換した。これはキラルカラムによる光学分割ができ、光学活性トリプチセンの合成に成功した。 ホスフィノトリプチセンの合成とその機能:1位にホスフィノ基、9位にメトキシ基を搭載したトリプチセン配位子を合成した。これを鈴木カップリングの配位子として用いたところ、ごく微量の触媒でも反応は極めて効率的に進行し、触媒回転数は5百万回転を超えた。また嵩高い基質でのカップリングにも適用でき、その能力は高性能Buchbald配位子の一つであるS-Phosを凌駕するほどの高性能を示した。 カプセル分子の合成:カップ型トリプチセンを合成し、それをRCM反応に付したところ大環状化合物の生成に成功した。それは3種の異性体混合物であったので、高速液体クロマトで分離後、エックス線結晶解析で立体化学を決めることに成功した。 高次イプチセンの合成:前年度に開発したアンビデントアントラセン法を駆使することで、ベンゼン環を13枚有する史上最長の直鎖型イプチセンの合成に成功し、エックス線結晶解析で小分子の包接現象を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
カプセル分子の合成途上で、近接効果による前例のない分子内檜山カップリングを見出したことは予想以上の成果であるとともに、置換基の近接効果がほかの反応性にも影響を及ぼしていることから、予想以上の広がりを見せている。カプセル分子は構造決定や精製に手間取り論文化に時間がかかっている。大きなイプチセンの合成は順調に成果が出ている。以上、予想以上に進展した項目と、やや停滞気味の項目があり、総じておおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ホスフィノトリプチセン(trip-phos)の機能をさらに精査するために鈴木カップリング、薗頭カップリングなど各種金属触媒の配位子として反応を試み、新たな高機能高回転リン配位子としての有用性を確立させる。カプセル分子の合成はデーターをまとめて論文化を進める。大環状イプチセンの合成のおおよその戦略は固まり、まずは合成を達成させる。さらに量的合成に向けた収率や選択性の改善を試みる。その機能についても調べる。イノラートの原料となるジブロモエステルの量的合成法を開発し、片面置換基密集型トリプチセンの量的合成法の目途をつける。
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